「慶應かるた会」/「慶応かるた会」表記方法はどちら?

Hitoshi.Takano     Nov/2010

 “MIKA”(かるた会のメール・コミュニティ)上で、“「慶應かるた会」、「慶応かるた会」表記はどちらが正しいのか?”との質問があり、話題となったので、 現役からも一般社団法人"全日本かるた協会"の傘下団体としての「慶應かるた会」のウェブサイトとしてお墨付きをもらっている立場から、ここにその結論と背景を記しておこうと思う。 

[ 結論 ]

 結論としては、正式には「慶應かるた会」である。ただし、「慶応かるた会」との表記であっても問題はない。
 昭和30年代初期の設立メンバーのI先輩、W先輩の証言で、「慶應かるた会」が正式名称ということであるので、これが結論である。

[ 背景 ]

==慶應義塾大学の一団体として==

 「慶應かるた会」が、慶應義塾大学の学生団体を母体としている団体であることは、皆さんご承知のことと思う。まずは、その視点から説明しよう。 「慶應義塾大学」は、学校法人である「慶應義塾」が設置する大学である。 「慶應義塾」の学校法人としての寄付行為(定款に該当する)である「慶應義塾規約」における用字は「慶應義塾」であり、「慶応義塾」ではない。 また、登記上も「慶應義塾」であり、「慶応義塾」ではない。こうしたことからも用字として正しいのは「慶應義塾」であり、「慶応義塾」ではない。
 「慶應かるた会」は、その団体の歴史の中で、慶應義塾大学の公認団体となり、独立団体を経て、21世紀を超えてから文化団体連盟の傘下団体となった。 慶應義塾大学学生部では、「公認学生団体一覧」というものを作成しているが、そこには、文化団体連盟の中に「かるた会」と記載されている。
 以前は、慶應義塾大学の公認学生団体が「慶應義塾大学○○」と名乗れるというルールがあったが、昭和50年代には、慶應義塾大学団体であれば、 未公認であっても「慶應義塾大学」を名乗ってもよいではないかということになり、現在にいたっている。
 したがって、大学からいえば、「慶應かるた会」は単に「かるた会」として公認されている学生団体なのである。 そういう意味では「歌留多会」でもなければ「カルタ会」でもなく「かるた会」というのが正式表記である。
 慶應義塾大学の学生団体が、「慶應」なり、「慶應義塾」なり、「慶應義塾大学」を冠して名乗る上で、その表記方法を慶應義塾大学は定めていない。 したがって、学生団体が自らを「慶応」と称しても、「慶応義塾」と記載しても、「慶応義塾大学」と表記しても、大学側から修正させることはない。 各団体が、自分たちの見識で表記を決めればよいというスタンスである。
 とはいうものの、学生部からは、ホームページなどを作成するときは、「かるた会(慶應義塾大学公認学生団体)」もしくは「慶應義塾大学公認学生団体“かるた会”」という記載が好ましいと言われている。 その理由は、後述するが、一般社団法人の全日本かるた協会に登録した同協会の傘下団体としての「慶應かるた会」のホームページと明確に区別するためである。
 本題に話を戻すと、慶應義塾自体も、自らが記載するものは「慶應義塾」と表記し、「慶応義塾」とは記載しないが、 一般的にマスコミその他の表記において「慶応大学」等と記載されることを問題とはしない。 また、創立150年事業で編集された「慶應義塾史事典」においては、タイトルこそ「慶應義塾」としてあるが、本文内では「慶応」と表記したように、 世間で一般的に使用されている表記方法を使用することもある。
 したがって、「慶應かるた会」が正式ではあっても、「慶応かるた会」の表記も問題ないということである。

==一般社団法人全日本かるた協会の傘下団体として==

 私が学生だったころ、H.I先輩から、早稲田は「早稲田大学かるた会」だが、慶應は、「慶應かるた会」で、 「慶應義塾大学かるた会」ではないから気をつけるように言われたことがある。
 たしかに、全日本かるた協会には「慶應かるた会」で手続き書類を提出している。 しかし、全日本かるた協会のほうでは、「百年史」や「かるた展望」、「会員名簿」等においては「慶応かるた会」と記載されている。
 実際、社団法人化以前には、全日本かるた協会宛の申請書類に「慶応かるた会」と書いたこともあったようだが、私の知る限りでは、社団法人化以降の提出書類には、 手続きにあたる学生責任者は「慶應かるた会」と記載しているものと認識している。
 これも、「慶應」表記を他者が「慶応」表記とすることはかまわないとの考え方で、別に全日本かるた協会に表記訂正を申し入れることもしていない。

[ 最後に ]

 個人的見解になるが、この自分たちはこのような表記をするが、他者が一般的な表記をするのは構わない、また、学生団体の表記方法も自分たちの判断でよいという、 慶應義塾のこだわりのない姿勢は、非常に融通の利くよい姿勢だと思う。
 競技かるたにおいても、こうしたフレキシブルな姿勢がいかされればよいと願っている。


** 余談 **
 なお、W大学出身の方から次の突っ込みがあったことも記しておく。
 “もともと「応」と「應」は同じ字じゃないか、とも言えますし、常用漢字ではない「應」は人名でもないから公的な場では使うべきではない、とも言えます。”
 大学名でいえば、慶應義塾以外にも、他者の使用はともかく、自らは「學」の字や「國」の字を使用される大学もあり、突っ込んでいたらキリがないような気もしている。  このように、この文章を読んだ方々もいろいろに感想を持たれることであろう。その感想をうかがうのも、また、興味深いことである。
2022年10月、加筆修正

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