競技生活30年記念誌より


☆ 本稿は、私と同期のA君の競技かるた30年を記念して、後輩たちが作成してくれた記念誌からの抜粋である。この企画の中心メンバーであったE君とO君が対談形式で、私とA君について語っている項の中から、特に二人のかるたについて分析・評価している部分を抜粋している。記念誌には名字で記述されているが、今回はアルファベットで表記させていただいた。

---------- (対談途中より) ----------

E君:Tさんも完全に自分のかるたを確立してて、自分のかるたにある程度の自信がついてきているから、勝負どころでしっかりとした勝負ができるんだろうな。

O君:そうだよね。かるたはスピードの早さとかじゃなくて…、みたいなことがしっかりと経験上身についているような。

E君:お二人のかるたって、上段に札が多いのが似ているし、同期だし、似たかるたのように思うけど、実は、結構対称的なかるたじゃないかって思うんだよね。なんか、動きの面から言うと、Aさんはちょっと早めに手が出て、弧を描くような軌道で札に向かっていき、空札で逃げた後とか、出札を払ったあととかも斜め上に手が上がっていくような感じ。飛行機が旋回しながら高度を上げていくみたいに。つまり、空札の時もしっかり動く。要は、出たら払うし、違えば逃げる。
 逆にTさんはAさんより手の出だしは遅いんだけど、場にある札が読まれたらびゅんと動き出し、動き出してからは札に槍を投げ込んで札を突き刺すように一直線に向かって行く感じ。Tさんも空札を避けるような仕草をすることもあるけど、あれはある程度、演技というか牽制みたいなもんじゃないかと思う。つまり、場にある札が読まれたときだけ、本気で取りに行ってる。もっと言えば、場にあっても取りに行く札、取らない札を分けてるかも、あ、でもこれはAさんTさんともに共通しているかな?
 つまり、Aさんのかるたは「動」で、Tさんのかるたは「静」で、対称的なんじゃないかな、って思ってるわけ。

---------- (以下省略) ----------

☆ この記念誌には、多くの方から原稿をいただいており、感謝につきないが、「かるた評」という点から、今回はこの対談を記載させていただいた。ご了承いただきたい。
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2014-August  H.T