試合の途中でWC…?!
〜The forbidden fruit (3)〜
jul/2009 Hitoshi.Takano
やや、尾篭な話になって恐縮だが、試合中にトイレに行きたくなる
というのは切実な話しである。
本来、そうならないように、試合前や試合と試合のインターバルの
間に、用を済ませておくべきで、そういうことにならないように充分
に気をつけなければならない。ないようにしなければならないがしかた
ない話なので、「禁断の…」というテーマなのである。
私自身、面とむかって後輩から、こういうときにはどうすればいいで
しょうかと訊かれたことは実はない。必要がないのであればいいが、恥ず
かしくて訊けないという向きもあるだろうということで、隠れたニーズが
あるのではないかということで、あえて書かせていただく次第である。
皆さんも体験があるだろうが、試合と試合の間のインターバルは、余り
時間がない。時間はないが、食事をしたり、喉を潤して、消費したカロリー
を補給し、汗として消耗した体内の水分の補給をしなければならない。
夏の大会などでは、熱中症の症状を示す選手もいるので、こうした健康
管理には充分に注意しなければならない。しかし、水分の補給ということで
急に冷たい飲み物を飲んだりすると、あとでおなかの具合に影響がでる
ことがある。食事にしても、夏の暑い時期なので、気づかずにいたんだもの
を口にしてしまうと同様のことが起こりうる。さらに、気をつけて冷やして
いない飲み物で水分を補給したとしても、発汗以上に水分を取りすぎると
それが尿意としてあらわれてくることもある。
こうした場合、暗記時間中であれば、失礼してトイレに駆け込むことも
可能であるが、試合が始まってしまってからだと、相手もあるし、周囲の
目もあるというので、がまんすべきかどうか悩むことになるのである。
大会の試合などでは、多くの組数で試合が進行するので、1試合に2時間
くらいはかかってしまう。うまくおなかのごろごろがおさまってくれれば
よいが、そうでなければ、もうトイレに駆け込むしかないのである。
尿意の場合は、がまんとの対決である。これは体験的にいうと、試合に
集中できなくなるのである。
あとわずかな枚数で終わるというのであれば、がまんもできようが、そう
でない序盤は中盤であれば、離席している間に1〜2枚相手に取られようが
すっきりしてきたほうが、そのあとの展開にいいのである。
いずれにしても、無理ながまんは禁物である。
では、どうして離席すればよいのか。
恥ずかしがらずに相手にトイレに行くことを告げるのである。そのときに
送り札は、上段か中段の中央に置いておいてもらうように伝えておくのがよ
い。
私は、会内の練習で4回経験があるが、記憶が確かならば4戦全勝ではな
かったろうか。不思議なものである。しかし、大会(職域学生大会、団体戦
である)での唯一の経験においては、見事に負けてしまった。
最近、飲んでいる薬の関係で、トイレが近くなってから、試合に際しては
次のようなメモを持っていて、いざという時の備えにしている。
”試合中に大変申し訳ありませんが、トイレに行かせていただきます。読み
の方を止める必要はありません。私の陣の札が読まれたら、その札を取って、
送り札を私の陣の中段の中央に置いておいてください。ご迷惑をおかけしま
すが、なにとぞ事情に免じて、ご容赦くださいますようお願いいたします。”
持っているだけで安心して、これを持ち始めてからおさまっていたが、試合
で使わざるを得ない状況に陥ってしまったので、このメモの使用は今のところ
1回限りである。
一方、相手に離席されたケースは2度ある。これは2敗している。こちらは
ともに練習の時であったが、二度目のほうは、合宿の昼食のあとで、6枚くら
い読まれる間、離れていた。このうち、出札は1枚のみ。読まれた札を席に
戻ってきた相手に伝えたのだが、待っている最中に数が増えてきたら覚えき
れるだろうかと不安になってきていたのを覚えている。離席中の札を覚える
よりも、場の札の暗記を入れたかったのだが、こちらの暗記に集中できない
状況でもあったのが、不安の原因でもあったろう。
がまんできるのであればいいが、そうでなければ、一時離席することを
考えるべきである。気にしながらの取りでは、札の暗記をはじめ、集中力
の欠如につながってしまう。早めに決断したほうがよいというのが、経験者
としてのアドバイスである。
誰にでも訪れる生理現象なのである。恥ずかしがる必要はない。堂々と
しかし礼儀正しく、理由を告げて離席しよう。
とはいうものの、こういう経験をしなくてすめば、それにこしたことはない。
後日(2009年8月28日)、この文章を読んだ方から次のように指摘をいただいた。
以下、(社)全日本かるた協会 競技会規程の第9条からの引用である。
---------------引用-------------------
(競技中の離席)
第九条 競技者は、原則として競技中は指定の座席を離れてはならない。
二 競技者は、やむを得ない理由がある場合は、対戦者と審判員に通告した上で
離席することができる。
三 前項の場合、審判長の判断で競技者不在のまま競技を続行することができ
る。この場合、対戦者は、出札を自己の取りとすることができ、また出
札が相手陣の場合、その都度一枚の送り札ができる。
<補足> 二 離席した競技者は、離席中に読まれた札や作戦等競技に関することに
ついて、何人とも会話してはならない。
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試合中においては、離席中の出札等については、相手に話してはいけないのである。ただし、練習の時であれば、練習という意味合いから適宜判断してよいであろう。
また、試合の際は、対戦相手だけではなく、審判にも通告する必要があるので、注意されたい。
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