○○ STEP 8 ○○
〜札を覚えよう(その7)〜
《 わお 》
覚えていない三十八枚の札の中から、「わ」で始まる札を探し出そう。七枚の札が見
つかる筈である。
「わがい」「わがそ」「わすら」「わすれ」「わたのはらこ」「わたのはらや」「わ
び」の七枚が見つかったと思う。構成は、三字決まりが二音(字)めまで同じ札が二枚ず
つあるペアが二組四枚と二字決まりが一枚、そして六字決まりの大山札が一組二枚であ
る。共通する音(字)を頭に持つ札を一組と記したが、こうした関係を「とも札」とい
う。今までに覚えた札の中にもあったわけで、今後札の確認をする時には「これとこれ
は、とも札」と確認してみるとよい。「わ」札では、「わがい」と「わがそ」、「わす
ら」と「わすれ」がそれぞれとも札である。もちろん、「わたのはらこ」と「わたのはら
や」の大山札も「とも札」である。なお、「とも札」は「友札」とも「共札」とも書
く。「わ」の札は、二音(字)めを取って「かすたび」と覚える。頭から三つ「がすた」
が二枚ずつで、最後の「び」が一枚の合計七枚である。続いて、取札の中から対応する
七枚を取り出して取札だけを見て決まり字をそらで言えるようになるまで覚えてほしい。
次は「お」の札である。詠札は残り三十一枚。この中から「お」の字で始まる詠札を探
そう。五枚が簡単に見つかったことと思う。しかし、「わ」は七枚あったし一緒に「お」
も覚えようというのだから、七枚無ければおかしいのではないかと素朴な疑問を抱いてい
ただけたであろうか。「お」の「字」で始まる詠札というのは確かに五枚しかない。とこ
ろが「かるた競技」とは、詠み手の詠みの「音」を聞いて取札を取る競技である。「お」
と聞こえるならば「お」の字が使用されていなくともよいのである。そういえば、「小倉
山」という札があったなあと思われる方も多いと思う。中には「小倉山」の札をすでに
「お」の札として一緒にしている方もいるかもしれない。確かに「小倉山」は「O-GU-RA
-YA-MA」という音で詠むが、詠札には普通「をぐらやま」と仮名がふってある。
正しくは「を」の字は「お」の字ではないから、注意深い方はこの札を一緒にしなかった
ことと思う。いろいろと書いたが、結局は先に述べた理由で、「を」も「お」の札の中に
入れていただきたい。さて、では残り一枚の「お」札は何であろうか。古典を少々学ばれ
た方は、「あふ」と書いてある場合は、「オー」と詠まれることをご存知であろ
う。知らなかった方は、そのように覚えていただきたい。もう一度、残った二十五枚の詠
札に戻っていただくと「あふことの」という札が見つかることと思う。この札も「お」札
として扱ってほしい。(本稿中、しばしば「字」・「音」の表記が両方使用されてきた
が、その理由が何故か理解していただけたと思う。本来的には、「音」というべきだが、
わかりやすさの点から「字」という書き方を多用した。)
これでやっと「お」札が七枚揃った。「お」札の内訳は、「おおえ(オーエ)」「おほ
け(オーケ)」「あふこ(オーコ)」の三字決まり三枚と「おく」「おも」「おと」「を
ぐ(オグ)」の二字決まり四枚である。「オー」の札は三枚あるので、決まりの変化を確
認する時に充分注意されたい。この「お」札七枚は、「オークモトグ」と覚える。三字
決まり三枚の二音めまでを頭に持ってきて、残りの二字決まりの二音めを四つ並べる方式
である。もう一つは「おほふくもとぐ」と覚える方式で、これは完全に二字めをならべた
という覚え方である。覚えられれば、どんな覚え方でもかまわない。とにかく覚えよう。
それでは、「お」で始まる詠札七枚に対応する取札七枚を探し出して、取札だけを見て
決まり字を完全に言えるようになるまでしっかりと暗記しよう。
最後に「わ」と「お」の取札十四枚の総点検をしてから、次へ進もう。
◇◇ 決まり字・下の句対照表 ◇◇
<わお>
「わび」………… みをつくしてもあはむとそおもふ
「わがい」………… よをうちやまとひとはいふなり
「わがそ」 ………… ひとこそしらねかわくまもなし
「わすら」……… ひとのいのちのをしくもあるかな
「わすれ」…………けふをかきりのいのちともかな
「わたのはらこ」 … くもゐにまかふおきつしらなみ
「わたのはらや」…ひとにはつけよあまのつりふね
「おく」 …………… こゑきくときそあきはかなしき
「おと」……………かけしやそてのぬれもこそすれ
「おも」 ……………うきにたへぬはなみたなりけり
「をぐ]……………いまふとたひのみゆきまたなむ
「おおえ」…………またふみもみすあまのはしたて
「おほけ」………わかたつそまにすみそめのそて
「あふこ」 ………… ひとをもみをもうらみさらまし
◇◇◇◇◇ 「STEP9」へ ◇◇◇◇◇
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