○○ STEP 12 ○○

〜競技を始めよう(その1)〜


[ I ]  『競技かるたは一対一の競技である』

 競技かるたは、一対一で行なう。そしてあと一人、詠み手が必要なので最低三人はいな いと競技ができない(重要なタイトルの試合になると審判・記録・立合などがつくことも ある。練習の時に人が足りないと詠みのテープを使用することもある)。この一対一の単 位を「一組」(ヒトクミと読んでください。イチクミではありません)という。何組も同 じ会場で同時に対戦する場合、詠み手は一人で間に合う(詠み手の声が通らないような異 常に広い会場は普通使用しない)。したがって、練習の際でも三人以上の奇数人の人数が いて「丁度」であり、偶数人だと「半端」な状態なのである。


[ II ]  『競技かるたは札を並べることから始まる』

 まず、一対一に競技する相手(対技者)と向き合って座ろう(試合の時は、番号札や自 分の対戦カードが競技する場所に置かれる。自分の番号が何番かは、対戦カードで対戦を 決める本部に行けば確認できる。練習の時は特にカードなど置かないが、適当な間隔をあ けて着席する。この適当な間隔については本文中で説明する)。

 さて、向かい合って着席したら、「よろしくお願します」と簡単に挨拶し、札を箱から 取り出そう。札とはもちろん取札のことである。普通、競技かるたに使用する札は、取札 と詠札が別の箱に入っている。取札を百枚取り出したら、裏返しにしたまま、良く両手 でかきまぜる。そして二十五枚を無作為に取り出す。相手も自分も二十五枚を無作為に 取り終えたら、残りの五十枚の札を箱に戻し、邪魔にならないように片付けておく(試 合の時は、あらかじめ使用する五十枚だけが用意されていることが多い)。「あれっ? 確か札を百枚覚えた筈なのに五十枚しか使わないのか。」と疑問を持たれる方もいるかも しれないが、実際五十枚しか取札は並べない。但し、詠札は百枚の中から九十九枚は詠ま れるので安心してほしい(百枚あるのに九十九枚しか詠まないのかと疑問をお持ちの方ま さにそのとおり。最後の一枚を詠む前に勝負がついてしまうからである。本稿を読み進む うちにそのからくりがわかることになっている)。ということは、当然並べなかった五十 枚の札は詠まれても場にない札ということになる。これを空札(カラフダという。ソラフ ダではない。)と呼ぶ。この空札があるから競技かるたの面白味が増すのである。

 話を元に戻そう。自分で取った二十五枚の札は、自分のほうに文字を向けて並べるわけ なのだが、これには並べ方の決まりがある。横は八十七センチメートル以内(これは札を 十六枚と半枚並べられるくらいの長さで畳の長方形の短いほうの辺の長さである)に並べ なければならず、また、縦は相手の上段の札から三センチメートル離して上段・中段・下 段と三段に並べなければならない。そして、自陣の上段と中段および中段と下段の間は一 センチメートルの間隔をあける。並べ方については、下の[図1]を参照してほしい。



 そして、この札を並べられる最大限のスペースを「競技線」と言う(なお、札は各段に 跨って並べてはならない。[図2]を参照)。自分の側の競技線内を自陣と言い、相手側の 競技線内を敵陣と言う。したがって、先程適当な間隔を取って着席するといったのは、最 低この競技スペースが取れていて、札を取りにいくために身体を動かしても邪魔になるよ うなものがない間隔を取るということなのである。



 次に札を並べる際にどのような並べ方をするかということが大きな問題となる。上の句 並べ、下の句並べ、札番号順並べ、作者別並べなどいろいろな並べ方があるが、要は自分 に取りやすく相手に取りにくい並べ方というのが一つの理想ではある。この自分なりに決 まった並べ方を「定位置」というが、この定位置については複雑な問題があるので、ステ ップをあらためて後ほど詳しく考察しようと思うのでここでは省略しておく。多くの場合 は札を並べ始めると暗記時間を取り始める(札を並べ終わってから暗記時間を取る場合も あるが…)。暗記時間は十五分あり、自陣敵陣ともに並べた札が何で何処にあるかを暗記 する時間である。この十五分の暗記時間の暗記については、次のステップで述べることに しよう。


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