○○ STEP 16 ○○

〜競技を始めよう(その5)〜


[ I ]  『札を送る際の注意』

 敵陣の札を取ったり、相手のお手付により相手に札を送るとき、送り札はきき手(札を取るのに使用している手)で相手側に文字を向け、敵陣中央の札を置いていないスペースに静かにおく。送り札は送る側で事由に選んで送っていいが、一度送ってしまった(敵に向けて敵陣に置いた札から手を離してしまった)場合は変更することができないので慎重に送り札を決めて送ることが肝腎である。送られた側もすぐに札を受け取ってならべるようにしたいものである。但し、札を送られるいわれがないのに送られて来た場合は(たとえば、相手が札を取っていないのに送ってきたとか、トモのお手付なのに札を送って来たとかなど)、送られて来た札を逆向きにして、すみやかに相手に送り返す(決して投げたりしてはならない。静かに相手に返すのである)。そして、相手に対して一言アピールする(たとえば、「今のは、私の取りです」とか「トモ手です」とかなど)。それでも、相手が納得しない場合、要点をまとめて簡潔に説明する。お互いに説明し合い納得して札のやり取りをしてほしい。これを主張と言うが、あまりまわりを考えずに長々とやっていると迷惑をかけるので、互譲の精神を発揮してもらいたい。審判がついている場合は納得しない時は審判に確認する。但し、審判に聞いたならば、審判の裁定は絶対と心得、審判がたとえ間違っていると思っても黙って従わなければならない。この間、詠みを止めており、他の競技者にも迷惑をかけているわけであるから、まわりのすべての人に不快感を与えないよう、気持ちよく爽やかに行動してくれるよう望んでいる。(「三枚譲って負けたら、実力がないと思え。」「もめたら、譲れ。譲ったら、次の札を必ず取れ。そして、必ず勝て。」「現在、勝っている負けているではなく、強い方が譲れ。」等々、主張と譲りに関する言葉は多い。)


[ II ]  『札を移動させる際の注意』

 自陣の札の位置を変えることがある。これは、札の配列やバランスや決まり字の変化を考慮してのことが多い。理由がどうあれ、札の位置を変えた場合は、必ずその都度、相手に対してそのことを伝えなければならない。また、相手から札の移動を知らされたならば、「はい」と意思表示をしたほうがよい。聞き逃していて、後で「言った筈だ。」「何も聞いていない」などとトラブルが生じるのを防ぐためである。相手が意思表示しない場合は、念を押すためにも繰り返したほうがよいだろう。お互いにトラブルが生じることを極力防ぐように努力すべきであろう。


[ III ]  『札が詠まれる際の注意』

 詠み手が、前の歌の下の句を読み始めて、下の句の余韻にはいったら、競技会場にいる人は競技者も観衆も、声を出したり畳を叩いたり、その他物音をさせてはならない。競技者は、その余韻の直後に次に詠まれる札の音に全神経を集中させているからである。このエチケットは競技を見る人の最低限のエチケットである。

 また、競技者はこの余韻のあと次の札の上の句が詠み出される前に、手を競技線より前に出したり、頭を自陣の上段の札の上辺より前に出してはいけないことになっている。詠まれる前に手を出すなど相手に対して妨害と認められる行為のあった場合、対技者からのアピールにより審判や大会役員の裁定で(本人が認めれば裁定を求める必要もないが)、妨害を受けた側の取りとなることがあるので注意してほしい。

 以上、述べてきた競技上の諸注意については、付録の「全日本かるた協会競技規定」を参考とされたい。

 最後に競技する際のエチケットで忘れてはならない点を付け加えておく。

(1)競技者は爪を切って手を清潔に保つこと。(相手を傷つけるだけでなく、自分の爪をはがしてしまうこともある。また、手と手が触れ合うことも多々あるので、汚い手では相手に不快感を与えてしまう。)

(2)きき手に指輪や腕輪・腕時計などをしない。また、ネックレスなどもはずしておく。(相手と接触した時に怪我をさせないため。ネックレスなどもはずみで手が引っ掛かりちぎれてしまうことがある。)

(3)きき手でない方の腕時計などもはずしておく。(きき手でない方の手も、札を取りに行く身体を支えるために、札の間際に置いていることが多い。ここに相手の手が札を払いにきてぶつかり、腕時計などで怪我をする場合もあるので。)

(4)当然のことかもしれないが、暗記時間・競技中は禁煙である。(暗記時間に喫煙される競技者も中にはいるが、その際は「失礼します」と席を立って、競技会場で定められた喫煙場所で喫煙すること。)昨今は、競技会場は禁煙のところが増えているようなので、観戦者も喫煙場所は指定されたところを守りたいものである。



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