短 歌 等

詠:六条隆長(短歌を詠む時のペンネームです)


「やまとうたは、人のこころをたねとして、よろづのことのはとぞなれりける 。世中にある人ことわざしげきものなれば、心におもふことを見るものきくもの につけて、いひいたせるなり。花になくうぐひす、水にすむかはづのこゑをきけ ば、いきとしいけるもの、いづれかうたをよまざりける。ちからをもいれずして 、あめつちをうごかし、めに見えぬおに神をもあはれともおもはせ、おとこをむ なのなかをもやはらげ、たけきもののふの心をも、なぐさむるはうたなり。…… (以下略)……。[古今和歌集仮名序]


【一九九五年】
負け続け悔しき思ひ噛みしめて勝ちへの執念いや増しにけり

【一九九七年九月】
曼珠沙華彼岸の花の紅い色現し世の花色褪せにけり
なきひとの悲願はならじ彼岸花彼我のへだたり時のへだたり

【一九九七年十一月】
湧きいづる和泉の源は細くともやがて轟く瀧となりぬる

【一九九八年九月】
歌留多取り勝負の綾は札模様心も技も錦織りなす

【一九九九年一月】
手も足も出ないと七度転ぶともただでは起きぬ八起きの達磨

【一九九九年六月十日】
さざなみのしがの京の今昔に時を感じるみずのきらめき
刻まれし時に想いをめぐらせてさざなみのたつ近江の湖水

【二〇〇二年十二月】
年の瀬の街中に響く札の音道行く人の呆れ顔見ゆ

(札の音)
ふるさとの大地に立ちて野山見る幼き日々の遠きを思ふ

【二〇〇七年三月】
(本歌取り)
あかつきをおぼえぬ眠り春の夜の夢ばかりなる枕のぬくもり

☆ 春の陽 ☆
(俳句)
陽を浴びてひとひらの春舞いおりる
(短歌)
やわらかなひざしのなかを舞いおりる桜並木のひとひらの春
(旋頭歌)
やさしさにつつまれし陽に輝き光りハラハラと肩にとまりしひとひらの春
(都々逸)
ひらりひらりと舞う花びらを肩にとどめる昼下がり



ページ作成: Hitoshi Takano

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