かるた展望「第79号」目次

2024年8月29日印刷
2024年9月 5日発行



(個人的コメント)
 今号は、表紙を見てまず驚いた。「成瀬は天下を取りにいく」という本が、本屋大賞をとったというのは知っていたが、何故、 「かるた展望」の表紙になっているのかわからなかったので、違和感しかなかった。 しかし、表紙の説明の記事を読んで納得。主人公の成瀬が、膳所高校のかるた班の所属ということだったのだ。 しかも、著者は静岡県立富士高出身とのこと。表紙になったことはむべなるかなである。
 さて、巻頭言は、川瀬健男副会長。コロナ禍でかるた界を離れた方がいたことに言及し、既存会員への退会防止策の必要性を説いていることは大事な指摘であると感じた。 また、「現状維持は衰退しかあり得ません」とのことは、肝に銘じておきたい指摘である。
 名人とクイーンの本人原稿は、「名人のことば」としては、「夢と時間とお金と現実」とのタイトルで、競技生活をささえるために必要なお金についても言及している。 多くの競技者が、一度は考えたことのあるテーマではないかと思う。 「クイーンのことば」は、「記録から選手へ」というタイトルで、記録係をしていた立場から選手としてクイーン位を獲得した経験がわかる。 それだけに開催に携わった全ての方への感謝の言葉に重みがある。
 第39回選抜大会の見出しは「名人川瀬、選抜初制覇」。川瀬vs矢島聖蘭(関東第一)。「慶應」からは2名が出場。
 第63回全日本選手権大会の本文見出しは「川瀬、選手権制覇で三冠達成!」。決勝は、川瀬vs矢島聖蘭(関東第一)。 三冠は、種村永世名人と渡辺永世クイーンに次いで三人目とのこと。 慶應かるた会からは四選手が出場。一人がベスト8。
 第56回全国女流選手権大会の本文見出しは「新進気鋭野添、女流を制す」。決勝は、野添美依奈(大津)vs矢島聖蘭(関東第一)。 慶應かるた会からは田口妙子選手が出場。
 上記の記事になった4つの大会で、矢島聖蘭(関東第一)が、すべてで準優勝ということはすごい。
 第37回各回対抗団体戦の本文見出しは「福井渚会 単独最多7回目の栄冠」。早稲田と6回で並んでいた優勝回数で一つ抜けたわけだ。 慶應はCブロックで9戦全勝で決勝トーナメント進出。準決勝は、京都小倉に2勝1敗とし、決勝進出。 決勝は、1勝1敗のあとの運命戦で敗退したが、立派な準優勝。 慶應の現役選手の充実を感じる結果だと思う。
 シニア選手権は第36回。私は約十年前に一度だけ出場させていただいたが、この大会を目指してがんばっているシニア選手との交流もあり、 結果を本誌で確認することは楽しみでもある。
 第5回ちはやふる小倉山杯は、川瀬名人が決勝で山添準クイーンを下して優勝。
 第3回名人vsクイーンドリームマッチは、クイーンが勝利。
 「名勝負を振り返る」は、第29期クイーン位決定戦。 今回の主役の鎌田さんは、鎌田さんの高校時代を含め3回対戦。北野さんとは、この試合の翌日の高松宮杯で、北野クイーンとしての初の公式戦での栄誉ある対戦相手となっている。 さらに、翌年も初防衛のあとの最初の試合である高松宮杯でも対戦している。興味深く読ませていただいた。
 津久井さんの「百人一首は誰が選歌したか」の記事は、最近話題の論評についての論考。「かるた展望」にはふさわしい記事だと思う。
 シリーズ記事、定番記事の充実には感謝。
 慶應関係者の投稿も嬉しい限りである。 今号では、「百人一首に載らなかった悲哀―一条天皇皇后・定子の辞世歌について―」と「あっぱれ・喝」(目指せ超A級―A級初優勝―)。
 また、「あっぱれ・喝」でも言及されているが、西郷永世名人の「ルールとマナーを考える」、竹中さんのかるた雑談「声掛けについての私見」と、 団体戦における声掛けのルール変更に関しての様々な意見は興味深い。それだけ、多くの方が考えるところのあるテーマということだろう。
 得点表にみる慶應所属選手の名前は、■(山冠に品)田(イワタ)、宮崎、中原、西牧、松浦、鈴木、山中、佐竹、加賀美、田口、北崎。
 上記以外で、大会成績に名前のあった選手は以下のとおり。
 冨田、立野、石井。慶應湘南藤沢では、ET(E級)。そして、第108回職域学生大会でA級4位に慶應義塾大学Aが掲載されている。
 さらに上記以外で、昇段者の欄に名前があったのは、安部田、太田、青山、高橋、三石、田中、重松、渡部、笠原、岩田、飯野、瀧口、堀内、高木、伊藤。 慶應湘南藤沢では、MO、AT、HK、NS。
 椿威氏の勇退の記事で、プロフィールで「十段を允許される」とあったが、十段は「推挙状」で「推挙」されるので、「十段に推挙される」が適切ではないかと感じた。
 今回も編集後記を興味深く読ませていただいた。
(H.Takano)

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