右近

忘らるる身をば思はずちかひてし
   人の命の惜しくもあるかな


決まり字:ワスラ(三字決まリ)
あなたに忘れられる我が身のつらさはどうでもいいのです。それよりも、決して忘れない と神かけて誓ったあなたが、その誓いを破ったので神罰を受けてしまうことになって、命を落とす ことこそ残念であるのです。

 女性の情念の強さを、そして恐ろしさを感じる歌である。誓いをやぶった男が天罰で死んでしまう ということが前提の歌なのだ。
 言葉の持つ力、すなわち言霊の力、そして、誓いの重さ、神仏の力というものが信じられていた 時代を感じさせる作品である。

 作者は、右近少将季縄の娘。父の官名から右近と呼ばれた。

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2008年5月4日  HITOSHI TAKANO