曽根好忠
由良の門をわたる舟人かぢをたえ
ゆくえも知らぬ恋のみちかな
決まり字:ユラ(二字決まリ)
20のリンクをはったあと、次にどの歌をリンク対象に選ぶか悩んだ。おそらく好き勝手
にやっていると、偏ってしまうとも考えてからだ。いずれは100埋まるわけなので、気に
することはないかもしれないが、ネタを考えるのには、順番は大切かもしれない。
そこで、5分の1(20)から3分の1(33)への歌は、アトランダムにカルタの札を
13枚引いて撰んだ。ところが、どういう偶然か、均等にばらけるかと思ったら、結構、
近い番号でつながったりするのである。この歌の近辺も続くことになった。
さて、この歌の歌意は下の句の「行方も知らぬ恋」である。この下の句を導くための
楫を失した舟人の不安感を地名をおり込み、寓意として上の句に配している。
作者は、丹後掾(たんごのじょう)の官職にあったところから、曽根の「曽」と丹後の
「丹」をとって「曽丹(そたん)」とあだ名されていたらしい。
しかも、なぜか、変人として後世に伝えられている。
変わり者の歌詠みの「そたん」。
後世に名を残したものの変わり者として名を残すというのもいかがなものかとは思うが、
そんな背景はともかく、この歌に自分自身の恋の思い出を重ねる後世の人々は多いのでは
ないだろうか。
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2008年3月 HITOSHI TAKANO