愛国百人一首

津守國貴

君をいのる道にいそげば神垣に
   はや時つげて鶏も鳴くなり


<愛国百人一首における決まり字>
キミオ(3字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
キ音10枚中の1
<歌意・鑑賞>
 「君をいのる」は君の御上を神に祈るで古くから使われている成語である。「君をぞいのる」 という表現もある。また、神垣に鶏が居るのも古くからである。「鶏も」の「も」は、感動の 助詞である。
 君の萬代を祈請すべく暁に起きて、神社の道を急いでいくと、はや鶏の声が聞こえる。 よほど早起きをしたと思ったのに寝過ごしたとみえて、神垣の鶏ははや声を立てている。 後れてしまったことは慚愧にたえない。
<コメント>
 津守國貴は、住吉神社の祠官の家の人。住吉神社は海の神といわれるが、海に限らず、水運 に関係する所に祀られている。水運といえば、舟や船に関係するわけである。舟や船が水運で 関係するのが、港であり、津(つ)や泊(とまり)などである。その「津」を守るのが「津守」 であるので、極めて住吉神社の神官としては、ありうる名字なのである。
 愛国百人一首には、それなりの撰歌基準が設けられていたわけだが、この歌もその基準に あてはまっているはずである。しかし、どうも、他の歌とテイストが違うようにも感じて しまうのだ。
 神官が寝坊して「しまった!」という思いの歌ではないのだろうか?
 まあ、和歌の常套句「君をいのる」と「神垣に鶏」を学んでよしとしよう。

 これで93リンクめ。残すところは、あと7つ。

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2008年6月11日  HITOSHI TAKANO