愛国百人一首

佐久間象山

みちのくのそとなる蝦夷のそとを漕ぐ
   舟より遠くものをこそ思へ


<愛国百人一首における決まり字>
ミチ(2字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
ミ音6枚のうちの1
<歌意・鑑賞>
 陸奥の更に外側の蝦夷地の更に外というのだから、千島列島の海を想定しているのだろう。 その海を漕いでいる舟というのだから、漁船と考えて良いだろう。それら遠い北の海を漕ぐ 舟よりも、もっと遠くに思いを馳せて国の海防や諸外国とのつきあい方を物思いしているので あるという読み方をすればよいと思う。
 先見の明のある人物であったといわれるところからも、大きく当時の日本を取り巻く国際 情勢を考えていたのであろう。
<コメント>
 信州松代藩の藩士。蘭学を学び、砲術や兵学をおさめる。
 幕府により京都に召し出され、尊皇攘夷論がさかんな京都の地にあって、開港論を唱え、公武合体 を支持していたために刺客に殺される。享年54歳。
 象山は号。「しょうざん」とも「ぞうざん」とも読む。勝海舟、坂本龍馬、吉田松陰らに影響を 与えた人物である。

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2008年5月20日  HITOSHI TAKANO