"競技かるた"に関する私的「かるた」論

番外編

大学かるた会論(1)

〜設立から活動安定まで〜

Hitoshi Takano DEC/2014

 大学に入学してから、大学の「かるた会」に入会し、競技かるたを始め、その後も大学の 「かるた会」に関わってきたものとして、少々「大学かるた会」について、その組織という面 からまとめてみようと思い立った。
 新キャンパスでのゼロからの練習会の立ち上げなども、関係者として見てきた立場から、 「設立」から話を起こして、初期の活動の安定と、その後の組織強化について私見を述べて みたい。
 しばしお付き合いいただければ幸いである。

<設立を目指して>

 大学に入学して、大学で「競技かるた」の活動を始めようと思っても、クラブ・サークルが ないという時にどうするだろう。
 競技かるたの未経験者なら、他の大学のかるた会の練習に参加して一から教わるという 方法もあるし、一般会に加入して一から教わるという方法がある。もちろん、自分の大学に 競技かるた経験者がいないかを探してみて、存在していれば、声をかけてその人物とともに 活動を始めるという方法がある。何にしても、競技未経験者は、組織をつくり活動を続ける ためには、自分がある程度競技かるたを取れるようにならなければ始まらないだろう。
 しかし、実際には、まったくの未経験者が活動を一からスタートさせようというケースよ りも、一般会での競技経験者や、高校や中学(もちろん小学校ということもありうる) での経験者が、今までの練習環境を離れ、大学で「かるた会」をつくって練習したいという ケースのほうが多いのではないだろうか。
 一般会の経験者は、その一般会の練習環境に参加できるのであれば、あえて大学でとは 考えず、その会の練習に出続けるということで組織の設立への動機をもたないということ もあるだろう。ただ、実家から距離の離れた大学に入学してというようなケースだと、 大学での活動場所確保の意味での動機付けはあるだろう。これにしても、その地域の 一般会に一時的に転入会して練習するという方法もあるので、なんともいえないところだ。

 バックグラウンドはともかくとし、ある程度競技かるたを取れる人間が、競技かるたの クラブ・サークルのない大学で、組織を設立して活動を始めようと思い立ったという前提で 話を始めよう。

 まずは、同じ大学での「仲間集め」である。 ひとりでは「組織」とか「団体」とは言えない。一応ふたりいれば「団体」と 言ってもいいようではあるが、大学で学生の活動として、施設利用などの 便宜供与をはかるための「団体」の定義は大学によってことなるので、 たとえば、ポスターを掲示するとか、大学の和室や教室を借りて 説明会をするとか、そのための要件は大学の学生支援部門の事務室窓口で確認して みることが必要だ。また、そうした事務室の担当者は、いろいろ学生のことを 知っている人も多いので、「うちの大学に競技かるたの経験者がいるという ような話は聞いたことありますか?」などと聞いてみるのもよいかも しれない。
 経験者はいなくとも、まったくの初心者が興味をもって来てくれるかもしれないので、 ポスターや説明会などを気長にやることだ。WEB-SITEやツイッター、フェイスブックなど で広報することも試してみてはどうだろうか。もちろん、授業のクラスの学生に直接声を かけてみるのも効果的だろう。(変わり者のように思われるかもしれないが、、、)
 1年生をターゲットにするならば、4月はもちろん最初のチャンスだが、実は夏休み 明けが大きなチャンスである。半年間のサークル活動で、自分は今のサークルには あわないと脱退する学生がある程度の数出てくるのが、この時期なのである。
 「春に入ったテニスサークルは、雰囲気に馴染めずやめたけど、やっぱり、何かサークル 活動はしたいんだけど、、、。ちょっと変わったことでも、面白そうならいいなあ。 年度途中の秋からでも入会できるサークルはないかなあ?」と探している学生は、結構 いるものである。
 1年間でサークルをやめる学生もいるので、4月に2年生をターゲットにする方法も ある。ただ、4月は新入生対象が多すぎるので、その流れが落着きかけた下旬以降が よいかもしれない。
 3年生でも、「サークル活動今までやってこなかったけど、何もやってないと就職活動 で面接などで聞かれたときに困るから、何か面接官の印象に残る活動をやりたい」と 3年生からでも入れるサークルを探す学生がいるので、このあたりも狙い目である。
 人集めのチャンスは、いろいろなタイミングで存在するのである。このタイミングを 逃さないこと、情報収集を怠らないこと、口コミを侮らないことなど、肝に銘じておき たい。

 とにかく、仲間を集めないと、組織の設立にはいたらないからだ。

<活動〜開始から安定まで〜>

 さて、なんとか、仲間集めが成功し、最低でふたり集まったとしよう。もちろん、 三人、四人…と集まったという仮定でもかまわない。

 あたりまえのことかもしれないが、まずは、練習を開始することである。
 練習場所としては、大学の施設利用要件を満たしていれば、申請して学内施設で 活動を行なうのがよい。なによりも、学生が来やすいので、見学などに声をかける にしても利便性がある。さらに、施設利用手続きなどで、大学当局に記録が残るので、 活動実績として認識されやすい。また、他の団体とシフトを組んで利用する場合、 他の学生団体にも存在を認識させることができ、そうした中から学内での認知度向上 に資するからである。
 なんといっても、会員募集は活動と並行して行なわなければならないのだから、 学内でのPRにも効果的だということなのである。
 もちろん、費用的な面でのメリットもある。
 学内施設の場合、学内の学生団体が利用するのに普通は利用料はかから ない。学外の民間施設だと自治体の設置する会館は低廉ではあるものの、利用料が 必要となる。お寺や神社も、それなりに費用がかかるものである。会員募集に 会費がそれなりにかかるとなると二の足をふむ人もでてくるだろう。施設利用料の かからない学内施設が利用できるのであれば、これを利用しない手はないのだ。

 練習も、何曜日の何時〜何時と定めて、定期的に行なうのがよいだろう。二人しか いないとその二人ということになってしまうが、もっと人数がいるのであれば、この 定期的な練習時間に集まれるコアメンバーを育成することが、肝要である。
 ポスターを見て、その時間にこの場所にきたけど、休みであったとなるとせっかくの 会員獲得のチャンスを逃してしまうことになる。したがって、無理なくコアメンバーが 集まれる時間を最小限きめて、これを見学自由ということでPRするのがいい。これ 以外にも、臨時練習を組むというのもよいだろう。
 昨今、大学ではグルーバル化が叫ばれている。日本文化に興味のある外国人学生も いることだろう。ポスターやWEB−SITEは、英語併記がのぞましい。外国人学生を メンバーに加えると、外国人との交流を望む日本人学生がメンバーに加わる可能性も でてくるだろう。

 こうした活動実績を積んで、その実績をもって、大学の公認サークルや大学の登録 サークルに申請する。このように、大学のお墨付きが得られれば、学内の学生対象の 冊子や、受験生向けの冊子に課外活動として紹介され、経験者や大学に入って競技 かるたをしてみたいという志願者が受験してくる可能性も広がるからだ。

 しかし、何もないところから、組織を設立し、活動を安定化させることは、至難の 技である。一人ではいかんともしがたいところがある。そのためにも、志を同じくする 仲間の存在が不可欠なのである。仲間集めとともに仲間との協同作業があってこその 組織作りと活動の安定化なのである。

 以上のミッションをクリアしたとして、次回は組織強化の話に移ろう。

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