数字が語ること(7)

クイーン戦の記録から(ii)

Hitoshi Takano AUG/2010

 渡辺令恵永世クイーンはクイーン戦登場16回(しかも1988年の32期から2003年 の47期まで16期連続)。14期クイーンの座についた。その間の対戦相手は8人。2回 以上対戦したのは3人で、この3人が渡辺クイーンにクイーン戦の畳で黒星をつけている。
 一人は、挑戦2回(40期・45期)の中村恭子元準クイーン。45期に2回戦で1勝。 もう一人は、挑戦2回(46期・47期)の荒川(斎藤)裕理元クイーンである。46期に 2回戦で1勝。47期に2回戦・3回戦で2勝して、渡辺クイーンからクイーン位を奪取した。
 そして、7期にわたって渡辺クイーンと熱戦を繰り広げたのが山崎みゆき元クイーンで ある。渡辺クイーンのクイーン戦9敗のうちの過半数の5つの黒星をつけた。
 1991年の35期には2勝1敗で渡辺クイーンからクイーンを奪取している。1990年の 第34期から1994年の第38期までの5年連続で同じ顔合わせのクイーン戦であった。
第32期(1988年)と第42期(1998年)も渡辺VS山崎戦であった。
 今回は、この渡辺VS山崎戦17試合の数字に語ってもらおうと思う。

氏名
区分
自陣平均
敵陣平均
お手付平均
備考
渡辺令恵
対山崎全試合
9.65
13.18
1.12
17試合
山崎みゆき
対渡辺全試合
11.41
8.18
2.12
17試合
渡辺令恵
対山崎勝ち試合
8.92
14.6
0.92
12勝
山崎みゆき
対渡辺勝ち試合
13.8
11.2
1.4
5勝
渡辺令恵
対山崎負け試合
11.4
9.8
1.6
5敗(平均3.8枚)
山崎みゆき
対渡辺負け試合
10.42
6.92
2.42
12敗(平均9枚)
 山崎元クイーンも攻めの強さ・激しさで名を轟かせた選手であるが、渡辺クイーンに 封じられたような数字が表れてくる。逆に数字からは渡辺クイーンの攻撃力が際立ってみえる。
 個人的な話で恐縮だが、渡辺永世クイーンとは、クイーンになる前の1983年1月から 1987年5月までの間に試合で7回対戦している。7敗の平均枚差は13.43枚。山崎元 クイーンとは、クイーン初登場の前年1982年1月に近江神宮で行われた高松宮杯で対戦し た。私にとっては、A級での試合は2試合目で、途中まで全く札が取れず、パーフェクトを くらったら恥ずかしいと思いつつ、対戦したという思い出がある。結果は18枚差の負け。 A級の強い選手の力をいやというほど思い知らされた一戦であった。
 その他、北野元クイーンが1985年にクイーン位を初戴冠した翌日の高松宮杯(会場は 近江神宮)の1回戦の相手が私だったという思い出もある。すなわち北野元クイーンが クイーンとして初めての公式戦の相手という幸運に恵まれたのである。結果は7枚差で 負け。翌年もクイーン位防衛戦の翌日の高松宮杯1回戦で2年連続の対戦。今度は、なんと 21枚差で負けてしまったという苦い思い出もある。クイーン位の1年保持、そして防衛 ということが、強さに磨きをかけていたといわせてもらってもよいだろうか。

 「数字が語ること」シリーズの7回で、名人戦・クイーン戦という一流選手に関する数字を 紹介するのも、これで一区切りにしたい。
 今度、「数字」に語らせるのは、実現するかどうかわからないが、またの日に別のネタで 考えたいと思う。

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