競技かるた論試案

〜“競技かるた論”は大学の講義として成立するか〜

Hitoshi Takano DEC/2010

 東京大学で教養講座としての囲碁の授業が導入されている。また、2010年度からは、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスでも、環境情報学部出身の梅沢由香里棋士による「囲碁」の授業が開始された。囲碁をまったく知らない学生でも、講義が終了する頃には打てるようになるという。
 囲碁でできるならば、競技かるたでもできないかと考えた。
 そこで、「競技かるた論」という1学期(15回)の講座を大学で行うとしたら、 どんなスタイルとなるか、試みに考えてみることとした。

<第1回>授業オリエンテーション
 本講座の狙い
 講義スケジュール紹介
 全日本かるた協会作成DVD「踊るコトノハ」鑑賞
 DVDの感想文提出
<第2回>小倉百人一首と競技かるた
 小倉百人一首の成立
 かるたの歴史
 競技かるたの歴史
 小倉百人一首に選定された和歌について
<第3回>競技かるたの競技方法
 競技方法の説明
 競技の鑑賞(クイーン戦のVTR)
 VTRの感想文の提出
<第4回>競技における決まり字の概念
 音別解説
 次回からの札暗記達成度試験予告
<第5回>札を取る技術
 構えについて
 払い手、押さえ手、突き手、囲い手など
 身体の使い方
 「むすめふさほせ」の試験
<第6回>定位置と暗記
 定位置の概念
 暗記方法
 「うつしもゆ」の試験
<第7回>読みについて
 4・3・1・5方式について
 間違えやすい読み
 読みの実習
 「いちひき」の試験
<第8回>「攻め」と「守り」について
 「攻め」かるたの概念
 「守り」かるたの概念
 「はやよか」の試験
<第9回>実技指導(1)
 五色かるたを使って(1)
 「み」「たこ」の試験
<第10回>実技指導(2)
 五色かるたを使って(2)
 「おわ」の試験
<第11回>実技指導(3)
 五色かるたを使ったトーナメント戦
 「な」の試験
<第12回>定位置をつくる
 「あ」の試験
 各自定位置を作成する
<第13回>実戦指導(1)
 競技かるたの実戦(1)
<第14回>実戦指導(2)
 競技かるたの実戦(2)
<第15回>総括
 競技の鑑賞(名人戦のVTR)
 VTRの感想文提出

<試験>
 ルールについての設問
 札の暗記度テスト
 「音」別の枚数についての設問
 好きな歌一首を選んで一首ならびに歌意等の解説を書く設問

 実技指導と実戦指導では、和室(もしくは柔道場)を用意しないといけない ので、教室ではできないという点で設備がないところでは困ってしまうかもし れない。

 この「競技かるた論」を履修した学生に対して、「競技かるた(実技)」を 選択体育などの実技科目として設定すれば、セットで年間を通じて実施できる だろう。

 進級・卒業単位に認定できる科目となるか、自由科目でとどまるかは設置を 認めてくれる学部の判断にゆだねられるかもしれないが、いわゆる一般教養的 な科目という位置づけであれば、充分、学生に刺激を与えられる教養講座になり うると思うのだが、いかがだろうか。
 少し、ひいきめに見すぎているだろうか。

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