“た”札論
〜音別の話(5)〜
Hitoshi Takano Jun/2011
音別の話は、第5回となった。全9回の予定なので、折り返し点を回る
ところとなる。今回のテーマは「た」の音で始まる札についてである。
「た」の音で始まる札は6枚。「かちごまきれ」と覚える。「かちごまきれ」
とは、二字目の音を取って並べたものである。
「た」札の最大の特徴は、二字目の音を取って「かちごまきれ」と覚えられる
ように、すべてが二字決まりという点にある。
音でいうと、「たか」と「たき」の二枚については、"TAK"の音になるので「た」
のあとの子音で聞き分ける時は要注意である。お手つきしやすい札である。
「たち」と「たれ」は二字目の音は明らかに違うのだが、「たち」の取り札
には「まつとしきかは…」と書かれ、「たれ」の取り札には「まつもむかしの…」
と書かれているために、視覚的に混乱することがある。
「た」札の定位置を考える時、二箇所か三箇所にわける人が多いように思う。
このとき、「たち」と「たれ」を同じ場所に定位置として並べておくとニ音め
が違うにも関わらず、視覚的に混乱したり定位置が同じゆえに混乱して違う札の
時に払ったりしてしまうことがある。
私としては、この2枚は二音めが違うので、定位置は場所をわけたほうが良いと
思っている。視覚や定位置の感覚に惑わされずに、「音」でしっかりと記憶して
おきたいものである。
「たち」の場合は、「たれ」と間違えてお手つきをするよりも、子音で聞き違
えるとしたら、むしろ「たき」と間違えることのほうが多いと思う。
「たか」と「たき」は、二音めの子音で強く結びつき、「たち」と「たれ」は
取り札の冒頭の「まつ」の文字でペア性が強いために、残り物コンビで、「たま」
と「たご」でセットにすることがある。
「た」の三箇所わけ定位置の場合、「たか」&「たき」、「たち」&「たれ」、
「たま」&「たご」でわける人がいるが、このような発想によるのだろう。
これをやると、音は違うにも関わらず「たま」・「たご」のペア感覚が、お手つ
きを生んでしまうことさえある。
二字目の子音をきちんと意識して、それぞれが孤立した札として強く認識する
べきであろう。
中には、6枚をすべてちがう場所に定位置としている人もいるが、これは、
無用なお手つきを避ける一つの手段であろう。
あまり多くの場所にわけすぎると、一音目への感覚に分散がおきてしまうと
は思うが、「た」の二字決まりは、敵陣と自陣との関係において、敵陣での
目標札として攻めやすいということを念頭において、自陣の「た」札の定位置
を考えたいものである。
特に「たか」・「たき」が二枚自陣にあったら、このどちらかを敵陣に送る
ことを考えたい。
「た」音がラスト1枚になるまでは、試合の中の大部分を二字決まりで
とおすことになるので、安定した二字決まりの攻防を楽しめるのが、「た」音
の札である。
この特性を理解して、序盤・中盤での攻撃目標札として考えたい。
[ひとりごと]
TAK音については、「たか」「たき」で、自陣に二枚あったら「たき」を敵陣に送ることにしている。どちらも好きな札なのだが、私の姓が「たかの」なので「たか」が聞きやすく、この聞きやすさが自陣のほうが活きていると感じるからである。
取札の頭が「まつ」で共通の「たれ」と「たち」は、「たれ」が裏、「たち」が表というイメージである。「たま」「たご」はどちらも好きな札で表裏や明暗・陰陽といった対立する感覚はない。
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