“み”札&“こ”札論
〜音別の話(7)〜
Hitoshi Takano Aug/2011
音別の話しも第7回となった。
そもそも、百人一首の第一音は、27音である。
この27音が何枚づつ分布しているか、五十音表の行別に見てみよう。
- あ行…28枚(16+3+2+0+7)
- か行…13枚(4+3+0+0+6)
- さ行…5枚(1+2+1+1+0)
- た行…11枚(6+3+2+0+0)
- な行…8枚(8+0+0+0+0)
- は行…9枚(4+3+1+0+1)
- ま行…9枚(0+5+1+1+2)
- や行…10枚(4+2+4)
- ら行…0枚
- わ行…7枚
同じく段別に見てみると次のようになる。
- ア段…50枚
- イ段…19枚
- ウ段…9枚
- エ段…2枚
- オ段…20枚
あ行とア段の多さがわかると思う。「あ」札が16枚もあるのだから、当然といえば
当然だが、第一音を考える時の参考にしてほしい。
“み”音の札
「み」札は5枚。二字決まり3枚と三字決まり2枚である。
二字決まり…「みせ」「みち」「みよ」
三字決まり…「みかき」「みかの」
二字決まり3枚については、二音めの子音の聞き間違えのお手つきというのは
あまりないように思う。むしろ暗記の曖昧さや勘違いが、お手つきの原因だろう。
勢い良く攻めて手が止まらなかったなどのお手つきもあるだろう。
三字決まりの「みか」の2枚も、三字めの子音を聞いてのお手つきというよりも、
三字なのに二字タイミングで払ってしまうというお手つきが多いように思う。
もともと二字の3枚よりも、"MIK"の音が響きやすいせいだろうか。
"M"音始まりの9枚の中の5枚をしめる「み」札であるが、「む」「め」「も」に
比べると初音の切れがいいので聞きやすいのではないだろうか。
攻撃目標になりやすいだろうが、聞きやすいがゆえに決まりを聞かずに払って
しまう不注意は避けたい。
「こ」札は6枚。二字決まり4枚と四字決まり2枚である。
四字決まりに関しては、二字に決まりが変わるまでは、他の4枚とは、別系統の
暗記ということになるだろうか。
二字決まりの4枚については、特に「この」と「こぬ」の子音の聞き間違えに
注意が必要である。"KON"という二字目の子音はミスを呼びやすい。ミスを呼びやすいが
ゆえに、二枚自陣にあれば、早々に別けて、お手つきのトラップとしたい。
「こい」「これ」は、この二枚の子音の聞き間違えというのはないだろうから、
思い切り取りにいけばよい。
相手陣と自陣の「こ」音の札の枚数の差を意識しながら、自陣と敵陣で同じ枚数か
1枚程度相手陣が多いような感覚で送りを考えていけばよいと思う。
勿論、「こころあ」「こころに」の四字決まりが自陣に二枚ある場合は、早々に
別けたい。囲うか、囲わないかは、選択の幅であるが、「こ」の音の他の札の配置
との位置関係にも影響されるだろう。
[ひとりごと]
「み」札は、「みかき」が表で「みかの」が裏。「みかの」を送る。「みよ」が明で、「みち」「みせ」が暗のイメージである。「みよ」「みち」「みせ」の3枚があれば、送る順は「みち」「みせ」「みよ」の順である。
「こ」札は、「こころあ」が表・陽で「こころに」が裏・陰のイメージである。「こころに」を送る。「こい」は好きな札。「これ」のイメージは暗いイメージ。「この」「こぬ」はお手つきしやすくお手つきの経験値も大でどちらも好きではない。
しかし、百人一首の撰者定家卿の詠んだ歌の札を嫌いというのも、少々言いづらい。まあ、この場限りの話ということで…。
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