はやよか論

〜音別の話(8)〜

Hitoshi Takano Sep/2011

 今回は、「はやよか」である。この4音は、各音4枚ずつある。

春山風花

 「春」「山」「風」「花」の四つの漢字を組み合わせると、ペンネーム というか、雅号っぽいものができあがる。
 「花山春風」(はなやましゅんぷう)や「山花風春」(やまはなふうしゅん) や「春山花風」(はるやまかふう)など、なんとなくそれっぽいではないか。 標題にした「春山風花」も「はるやまふうか」と読ませれば、それはそれで 名前っぽい。
 さて、本題はそういう話ではない。
 「はる」「はな」「やま」「かぜ」は、「はやよか」のうちの三字決まりの 集団である。各2枚ずつあるので、計8枚。「はやよか」16枚のうちの半分が 三字決まりなのである。
 この三字の友札の別れの攻守は、序・中盤の肝となるだろう。単独の場合は、 お手つきに気をつけつつ、攻めるなり、自陣でキープするなりして、安定して 試合を進行させたい。
 三字が2枚自陣にあれば、敵陣への送り札にするが、単独の場合は、次に述べ るニ字決まりとの関係で、送りを工夫する必要がある。
 これらの三字札でのお手つきは、厳に注意して、二字決まりに変わったら、もと からの二字決まりの札とあわせた攻防で競いたい。
 同音が3枚すでに読まれていれば、一字決まりである。この一字になった 確認も忘れてはならない。終盤には一字になっているだろうなと意識して確認 するだろうが、意外と中盤で一字になっていたりする。この一字はきっちりと 一字で取りにいけるように意識しておきたい。

ニ字決まり

 「や」音では「やえ」「やす」、「よ」音では「よを」「よも」、「か」音 では「かさ」「かく」が二字決まりの札である。
 二音めの子音で間違えやすい札は、経験的にいえば、「よを」と「よも」で ある。「よも」の"M"音のときには、唇がつくはずなのだが、この"M"が感じられず 次の"O"に聞こえてしまうことがある。"YO‐O"と"YO--O"という感じになって しまうので、要注意である。
 先に解説した三字決まりが二字決まりとなると、二字決まりでの攻防となる。 特に二字決まりが三枚に場にあるシチュエーションになったら、自分がリード する中で、敵陣2枚・自陣1枚になるように送り札候補として考えたい。
 二字の攻めやすさは、裏返せば、攻められやすいということである。この ことは認識しておこう。
 単独の二字のときに、送り送られで、勝負の綾となる札になる可能性もある。

五字決まり

 「よのなかは」と「よのなかよ」である。六字決まりは大山札というが、この 五字決まりは、大山札とはいわない。
 しかし、五字は、四字とは違い、基本的には囲い札であると思う。四字は囲う人、 囲わない人、両方が相当数いると思うが、五字以上は、ほとんどの選手が囲いの 対象としていると考える。
 「よのなか」の札は、これまた、"N"音が感じられないと"YO--O"となるので、 お手つき要注意である。
 「よ」の札は二音目の子音の部分に充分注意したいものである。

[ひとりごと]
 「は」札は、「春」と「花」どちらも陽のイメージである。好き嫌いでいえば、「はるす」「はるの」は同じくらいで「はなの」>「はなさ」という感じである。表は「はるす」と「はなの」で、「はるの」と「はなさ」が裏である。昔は裏を送っていたが、最近は表を送ることもしばしばで、定まらなくなってしまっている。
 「や」札は、「やまざ」が表で「やまが」が裏で、裏送り。「やま」は二枚ともどちらかといえば嫌いな札である。「やえ」は陰、「やす」は陽のイメージだが、この2枚はどちらかといえば好きな札である。
 「よ」札は、「よのなかよ」が裏で「よのなかは」が表、送りは表を送る。どちらも好きな札である。「よを」も「よも」も好きな札であるが、「よを」も「よも」も暗いイメージである。ただ、「よを」は陽で「よも」が陰のように感じている。
 「か」札は、「かぜを」が表で「かぜそ」が裏だが、表を送る。「かく」が陽で「かさ」が陰のイメージを持っている。
 表を送るか裏を送るかもこのように音によって異なっている。ただただ、自分自身の個人的感覚なのだ。

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