“わ”札論

〜音別の話(9)〜

Hitoshi Takano Oct/2011

 音別の話も第9回である。というよりも音別の最終回であるといった ほうがよいだろう。
 音別の話は、「あ」音の札で始めたので、最終回は「わ」音の札で終わ らせようと、今回は「わ」札の話である。
 さて、今回の導入部分は、二字めの音を前々回と同様に50音表の行と段で 見てみることにした。なお、一字決まりの7枚は除いてある。
 これを段別に見てみると次のようになる。

 初音にはなかった「ら行」の多さが目立つ。そして、濁音もある。 濁音の中でも、「が行」は二桁もある。「か行」が14枚なので、 「か」の清音と濁音で24枚ということになる。
 一音めの音に話題がいきやすいが、音の聞き分けの点からいっても 二字めの音にも注意を払いたいものである。二字決まりは42枚もある のだから…。
 そして、三字決まりの場合には、三字めの音にも注意をはらわなければ ならない。
 三字以上については、自分で確認してみていただきたい。

“わ”音の札について

 「わ」音は、二字決まりが1枚と三字決まりが4枚、大山札が2枚の構成 である。
 「わび」は「わ」音唯一の二字決まり。「わ」音の攻撃の拠点にしたい札 である。
 三字決まりは、敵陣・自陣と別けて、取り分けたい。「わすれ」と「わすら」 は三字目の子音が"R"音で共通である。子音で慌てて間違えないようにしたい。 自分は間違えずに相手に間違えてもらいたいものではあるが…。
 もう一つの三字決まり「わがそ」「わがい」である。落ち着いて聞き分けたい。 この三字決まりは、自陣に同音が二枚来たら、はやく送って音をわけたい。
 三字決まり以上が二字決まりに変化したら、「わび」などを含め、二字の関係 での攻防を考えていかなければならない。枚数などのバランスも考えつつ、送り を考えたい。
 大山札である「わたのはらこ」「わたのはらや」は、しっかりと囲いにいき たい。

[ひとりごと]
 「わたのはら」はどちらも好きな札だが、「わたのはらこ」が表・明・陽で、「わたのはらや」が裏で暗で陰のイメージ。送りは「わたのはらや」を送る。
 「わがそ」「わがい」はどちらも陰のイメージで、「わがそ」が表で、「わがい」は裏と感じている。最近、送りはバラバラで、その場の雰囲気で送っている。
 「わすら」「わすれ」も、どちらも陰のイメージ。「わすれ」が表で「わすら」が裏に感じている。この感覚、昔は逆で、「わすら」が表で「わすれ」が裏だった。いつのころからか、感覚が逆になっていった。送りは裏送りで以前は「わすれ」を送っていたが、今では「わすら」を送るようになった。

「音別の話」を終えて

 音別の話について、もっと面白い視点で書けるかと思っていたが、実際書いて みると、今までさまざまなところで語らえている枠組みを大きくはずれたことを 書くことができなかった。そういう意味では面白みに欠けるかと思う。
 しかし、「いちひき」や「はやよか」などを、単に各音別に語るのではなく 四音を一括りにした上で、決まり字数を意識した視点で書けたことなどは、あまり 今までに書かれなかった視点ではなかっただろうか。
 あくまで、私の音別の札の見方を書いたにすぎない。ぜひ、自分自身の音別の話 を語ってほしいものだと思う。


「音別の話」の“INDEX”

次の話題へ        前の話題へ


"競技かるた"に関する私的「かるた」 論のINDEXへ
感想を書く
慶應かるた会のトップページへ
HITOSHI TAKANO のTOPPAGEへ

Mail宛先