待賢門院堀河
長からむ心もしらず黒髪の
みだれて今朝はものをこそ思へ
決まり字:ナガカ(三字決まリ)
これで80リンクめ。8割方終了した。残るは20首。全体の5分の1を残すのみで
ある。
作者が仕えた待賢門院は、鳥羽天皇の中宮藤原璋子である。崇徳天皇、後白河天皇の母親
である。待賢門院堀河は、村上源氏の源顕仲の娘である。顕仲が神祇伯であったので、伯卿
女とも称される。璋子の落飾にともない出家している。この歌の持つ「髪」の艶っぽい
イメージを考えると、髪を切っての出家には一抹の寂しさを感じてしまう。
さて、「みだれ髪」というと与謝野晶子を思い浮かべる方が多いことと思うが、百人一首
を取る方は、「みだれ髪」のイメージはどちらかというとこの「ながからむ」の歌のほうが
強いのではないだろうか。
この歌は、女性の側の後朝の歌である。妙になまめかしさを感じさせる歌と思うのは私
だけであろうか。
末永く愛してくださるというあなたの心がわからずに、あなたと別れた朝の
私の気持ちは長く黒い髪が乱れるごとくに乱れているのです。
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2008年4月29日 HITOSHI TAKANO