愛国百人一首
大田部荒耳
天地の神を祈りてさつ矢ぬき
筑紫の島をさして行く吾は
<愛国百人一首における決まり字>
アメツ(3字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
ア音12枚のうちの1
<歌意・鑑賞>
天の神々、地の神々を心に祈ってやなぐいに矢を差し、筑紫の島をさして防人として
行くのである、この私は。
「天地の神」は、天津神と国津神。「さつ矢」は山の幸である獲物を射るための矢。ここでは
征箭。「ぬき」は諸説あるが、矢を胡籙(やなぐい)にさすことであろうといわれる。軍防令の規定では、
兵士は人毎に征箭50隻胡籙1具をそなえることになっており、防人もそれによったのであ
ろう。筑紫の島は、九州をさしていたと考えられる。
<コメント>
大田部荒耳(おおたべあらみみ)は、今奉部與曾布と同じく
下野国の防人で、10人の兵をたばねる火長。「あらみみ」ではなく「あらみ」とも読むらしい。
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2008年6月11日 HITOSHI TAKANO