愛国百人一首

下河辺長流

富士の嶺に登りて見れば天地は
   まだいくほどもわかれざりけり


<愛国百人一首における決まり字>
フジ(2字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
フ音3枚のうちの1
<歌意・鑑賞>
 富士山の高嶺に登って下界を眺めて見れば混沌として天地がわかれていない状態がみえるのです。
 富士山の頂上付近から雲海を見たような感慨であろうか。天地がわかたれず混沌としたした状態は、 古事記の序の記述を思い起こさせる。
 天の沼矛で、かき混ぜた混沌たる部分を見る感じだ。というより高峰から雲海を見たイメージが この古事記の記事の原点になっているようにも思うのである。
<コメント>
 長流は、契沖とともに古学復興の基を開いた人物と言われる。大和宇陀の人で、長流は号。幼少から 学を好み、長じて国学に通じたという。「万葉集」「古今集」「伊勢物語」等を暗記しており、間違え なかったという。水戸黄門光圀が、万葉集の註釈を請うたという。生涯独身を貫き60歳で没。

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2008年5月15日  HITOSHI TAKANO