愛国百人一首
平野國臣
青雲のむかふす極すめろぎの
御稜威かがやく御代になしてむ
<愛国百人一首における決まり字>
アオグ(3字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
ア音12枚のうちの1
<歌意・鑑賞>
「青雲(あをぐも)のむかふす極(きはみ)」という句は万葉集にあり、遠く見渡せば蒼空が
大地に向かい伏したるが如く見えるの意味で、天地の相連なる果てまでもということである。
「御代になしてむ」の「てむ」は願望をあらわす。
文久2(1862)年の獄中の作で、神武必勝論の中巻の末尾にしるされた歌である。
天地の遠くあい連なる果てまでも、ねがわくは、天皇の御威光がくまなく輝きわたるご時世に
なしたてまつらんと願うものである。
<コメント>
平野國臣は、福岡藩士で、通称は次郎という。1858(安政5)年脱藩し、京都で活躍するが
追っ手を逃れて、郷里に潜伏する。その後、たびたび上京するが、寺田屋騒動や8.18の政変で
挫折を繰り返し、沢宣嘉を擁して生野の変を起こして失敗し、捕えられて切られる。享年39歳。
僧月照が幕府の追捕を逃れて筑前に来たとき、ともに薩摩に
赴く。その後、月照は西郷とともに入水。國臣は中国・九州などで奔走するも、文久2年に脱藩
の咎で獄につながれた。その時の歌である。
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2008年5月31日 HITOSHI TAKANO