愛国百人一首
菅原道真
海ならずたたへる水の底までも
清き心は月ぞ照らさむ
<愛国百人一首における決まり字>
ウ(一字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
1枚のみ
<歌意・鑑賞>
海でなくとも湛えている水の底までも徹して今夜の明らかな月は照るであろう。自分の清く
正しい心は水と同じだから、君は遂には知ろしめすであろう。
大鏡では、筑紫にあって「月のあかき夜」に詠んだとある。
「たたへる」は「湛へたる」である。
<コメント>
筑紫の国で詠んだということは、太宰権帥に左遷された地で詠んだということであろう。それ
ゆえに、この歌の意を月のさやけき光が水の底までも届く様を詠んでいる以上に、それを自分は
罪なく流されたことをその自分の清い心を帝のご威光が月の光のように照らして真実を知って
くださるに違いないという思いを汲んで理解せざるをえない。
左遷というが、実質的な配流の地にあった道真の心はいかばかりであったであろうか。
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2008年5月9日 HITOSHI TAKANO