愛国百人一首

大伴家持

すめろぎの御代栄えむと東なる
   みちのく山にくがね花咲く


<愛国百人一首における決まり字>
スメロ(3字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
ス音3枚中のうちの1
<歌意・鑑賞>
 天平21年、陸奥国小田郡に黄金が出て朝廷に献上された。そのことを言祝ぎ、家持は長歌を 詠んだ。その長歌の反歌3首のうちの一首である。
 意味は、わかりやすいだろう。天皇の御代が栄えますようにと東国は陸奥の山中から産出した 黄金が花のごとくに咲いております。
<コメント>
 東北は岩手県、奥州藤原氏の三代の平泉の栄華は有名だ。中尊寺の金色堂は、まさに黄金の館 である。清衡の中尊寺、基衡の毛越寺、秀衡の無量光院。陸奥の豊富な黄金を背景に栄えたといって よいだろう。また、東北は良質の馬の産地でもあった。馬は軍事力でもあった。
 作者の家持は、奥州藤原氏よりもはるか以前に朝廷の東北経営の先兵であった。先兵とは言った が、実際は、陸奥按察使、鎮守府将軍、持節征東将軍などの要職にあった。
 大伴氏は、代々大王家に兵(つわもの)の家柄として仕えた豪族である。父親の大伴旅人も歌人であるとともに、武の人であった。家持は、万葉集の選者として知られるので 歌人のほうのイメージが強いが、本来は武辺の仕事が本業なのである。

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2008年5月9日  HITOSHI TAKANO