同期生への手紙(IV)
Hitoshi Takano Jun/2020
Hさんへ(3)
前略 H先生、ご無沙汰しています。
新型コロナウイルス感染症対策では、中等部・高等部も多大な影響を受けていることと思います。特に、急遽対応されているオンライン授業などはご苦労も多いことと拝察いたします。
私たちの関連でいえば、部活の問題も大きいと思います。新入生が、期待を胸に飛び込んでくるはずの部活は、肩透かしを喰った状況かもしれません。
まったくの初心者には、オンライン部活で札を覚えるとかルールを覚えるとかの指導は成り立つかもしれませんが、経験者や上級生にとっては、実戦ができないことが何よりも辛いことだと思います。
各種大会も中止または延期になっています。競技かるたは、三密の傾向の強い競技ですから、やむをえないところですね。
私の方も、4月は練習できませんでした。残念ながら、ひそかに続けてきた記録もストップしました。はやく、実戦練習ができるよう事態が沈静化することを祈っています。
さて、今回の緊急事態宣言を受けての様々な状況の変化の中で、自分の中で結構ストレスになっているなと感じるのは「在宅勤務」です。(ご同様でしょうか?)
そちらの職場の状況を把握はしていませんが、毎日ではないにしても職場へ出勤しての仕事をなさっていたかもしれませんね。
私の場合は、大学教員との遠隔会議に関しては週二回の定例会議があり、臨時会議もあります。日曜日の臨時会議もありました。
この会議については私が事務局なので、WEBEXを使って主催者となり、みなさんを招待する形になります。バックアップのために使うというので、Zoomの会議も経験しました。
そのほか事務室関連の遠隔会議もありますが、こちらは私が主催者というわけではないので、参加者にすぎません。参加者にすぎないほうが気が楽ですね。
というのも、遠隔会議の主催者というのが、結構なストレスになるからです。一度、会議中に端末がフリーズしてしまい、焦りましたが、会議自体は途切れることなく続いていたようでホッとしました。
バックアップ用の別の端末を使ってアクセスしたので、自分自身の会議への参加も問題ありませんでしたが、あれこれやっている間の数分は会議の内容を聞けませんでした。
もしも自分のせいで会議を中断させてしまってはというプレッシャーはありますし(これは自分が何らかの事情で会議からでたら、別の方に主催がまわるということをあとで知りました)、
会議の記録係でもあるので、記録を欠落させてしまうようなトラブルは本当に困ります。端末にしても、タブレットとPCでは、できる機能も異なり、結局いろいろやってみて、wifiでなく有線でつないだPCの安定感と機能が一番だと実感しています。
端末も一台買って、その他ヘッドホンとマイクのセットも買ったりと、設備投資しました。政府の特別給付金は、こうした遠隔会議用というかテレワーク用の出費にありがたく使わせてもらうことになりました。
事務職員は、ある程度、勤務時間や勤務日の感覚は、在宅勤務であっても、通常の勤務スタイルに準じた形で仕事することを自然に行っていますが、
大学教員は仕事のリズムも異なるようなので、在宅勤務ということになると、通常の事務室の執務時間という感覚が薄れてしまうようです。
職場に出勤している場合は、事務室が窓口を閉めれば、その後に来室しての依頼はないですし、執務時間終了で退室したあとは、よほどの緊急でなければ、また明日の在席中に連絡しようという感じになります。
しかし、在宅勤務だと、時間が何時だろうととりあえずメールしておけば、相手の都合のいいときに読んでくれるだろうという感覚での連絡が自然に行われます。
自分自身、もう今日は仕事は終えたのだから、翌日の回答でいいと頭では思うものの、ついつい回答してしまいます。
無視するなり、スマホを見なければ済む話かもしれませんが、こんなに遅い時間でもメールを送ってくるのは、急いでほしいということではないのかなどと勝手に考えて就寝前に対応してしまい、そのことで眠れなくなってしまったりすることもありました。
こんな感じで過ごしていると、どうも、自分自身の業務とプライベートのメリハリがなくなるというか境界線が薄れてきます。それが、家庭の中でずっといるわけですから、余計にオン・オフのリズムが崩れます。
土・日・祝日も、在宅勤務と同じように家にいるわけですから、なんとなく仕事メールに反応しがちです。困ったものです。無視しようにも無視できるものと、本当に緊急で無視できない事案が混在しているのですから、なおさらやっかいです。
特に出勤しないことは、家での過ごし方にも関わってきます。家内の家事のリズムもありますし、お互いに迷惑をかけてはいけないと考えたり、ここは在宅勤務の時間でも協力しないといけないとか、手探りの状態でした。
自宅で店舗をやっていたり、フリーランスで自宅での仕事が日常であるという経験のない私にとっては、自宅というのは、やはり基本的に生活空間で、勤務先から帰って仕事を離れてくつろぐ空間です。
今回の在宅勤務では、この自宅における気持ちの切り替えに苦労しています。通勤時間の長い職員は、その時間を家のことに振り替えられるので、時間を有効に使えているという声もありますが、
私程度の通勤時間(片道40分から45分程度)だと、適度な気持ちの切り替えのために必要な時間だったと思えます。
歩くことで運動にもなりますし、オン・オフというメリハリをつけるための時間にもなります。通勤時間の効用を実感しました。
いろいろと書きましたが、まったくもって愚痴でしたね。つまらない愚痴にお付き合いいただきありがとうございます。
一応、緊急事態宣言は5月25日に解除が発表されましたが、警戒を解くわけにもいかず、職場への出勤と在宅勤務の併用となります。
北九州市の感染者の増加や、東京都で感染者が20人/1日を越えたりといった情報もありますので、まだまだ、慎重な行動が求められていると思っています。
競技かるたの三密対策も考えてはいますが、対戦練習は至近距離の対人競技なので、「密接」を免れるわけにはいきません。
試合前の手指消毒、マスク着用だけで、濃密な「密接」ではないと果たして言い切れるでしょうか?
試合中の音の問題などもありますが、「換気」をどのようにするかは大事な問題です。
対戦の組ごとの距離をどの程度取ればいいのかも、会場の広さと人数の関係で悩むところです。
「読み」についても、読手を立てるのではなく、自動読上機「ありあけ」を使ったほうが安全かと思います。
こんな悩みばかりの状況ですが、そちらの練習再開予定は決まりましたでしょうか?
練習時における安全対策で妙案があったら、ご教示ください。三田キャンパスは、当分は正門のみの通行となり、入構時の身分証確認や入構記録作成は続きます。今後は、入構時の検温もあると思います。
三田婦人室での教職員練習会の予定は、未定のままで、再開時期は決まっておりません。
では、この新型コロナウイルス禍が沈静化し、再び、心おきなく競技ができる日を信じて、筆を置きます。
お互い、その日まで、ストレスに負けず、新型コロナウイルスに負けず、健康に気を付けて過ごしましょう。
草々
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