LETTER-Senpai-08

先輩への手紙(VIII)

Hitoshi Takano Oct/2018


前略  最近、連絡をとらずに申し訳ございませんでした。
 いつも母のことを気にかけてくださり、誠にありがとうございます。実は、母の一人暮らしでいろいろと支障が出てきたので、入居する老人ホームを探していたため、ご連絡も差し上げず、練習でもお会いできずにおりました。

 母は昨年8月に引っ越した阿佐ヶ谷での一人暮らしには慣れてきたものの、訪問販売や訪問募金でどうも家族には不明な支出が増えて、年金の月割り額を超える出費があり、家族としても心配になってきたわけです。
 幸い、昨年売却した多摩センターの旧居の売却額とほぼ同じくらいの入居金で、月々の負担は年金の月割り額程以内に収まる3月開館の介護付き有料老人ホームが私の住まいから徒歩5分程度のところにあることがわかりそこに今月からお世話になることになりました。
 ずいぶん前から紹介センターのウェブサイトで調べはじめて、センターの方と連絡を取っていましたが、実際にセンターの事務所に伺い、紹介をいただきました。施設見学をし、食事の試食などもして、複数の候補の中から選ばせていただきました。
 時として、休暇をいただきながら手続きなどの準備を行い、家内とともに引っ越しの準備をして、ようやく体育の日の本日、母を入居させることができました。
 本人は不安がっていましたが、新しい施設の設備や環境はそれなりに納得してくれたようです。ただ、実際にこれから生活を始めるとまた不安などを感じることもあることと思います。
 家族としては、健康面でも生活面でも守られた環境になるので、ほっとしています。やはり、昨今の高齢者が被害を受ける事件のニュースなどを目にし耳にすると、脇の甘い隙だらけの母が心配に感じていました。
 毎週、母の食事や洗濯、掃除のことで時間を使い、気を使っていた家内のことを考えると、良い選択だったと思っております。

 ただ、毎週二回通っていた阿佐ヶ谷のキリスト教会に通えなくなるのが、きっと本人にも残念なことでしょうし、新しい場所で土地勘がないところの生活の不安は本人にとってもストレスになるかもしれません。
 家族としては前向きに生活に向かっていってほしい気持ちでいっぱいです。

 私自身かるたを取っている際や、練習の予定を考える際に、母の夜間外出の心配や、突然の迷子連絡の不安、経済生活の気がかりなどが、ふと自分の気持ちをよぎることがありましたが、そういうことは減っていくことと思います。

 先輩にもまだまだご心配はおかけすることになると思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。
 それでは、本年もあと3か月ですが、練習場でお手合わせを願います。


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