"競技かるた"に関する私的「かるた」論
番外編
質問に答える(2)
〜暗記・集中〜
Hitoshi Takano MAY/2019
「質問に答える」は、私的かるた論のシリーズには初出であるが、すでに(2)が付されている。実は、このタイトルは、すでに「後輩への手紙」のシリーズに使われたことがあるからである。
"2014年7月"に掲載している。それをこちらのシリーズで書くことにしたのは、質問の内容が、前回は技術論というよりも、
私への属人的質問であったため、手紙で回答するスタイルが向いていたからである。今回は、技術論的色彩が濃いので、このシリーズに掲載することにした。
タイトルとしては、掲載シリーズは異なるもののやはり2回目になるので、(2)を付した。今後、増えていけば、別途“INDEX”のページでまとめようと思っている。
これらの質問は、おもに練習試合のあとに、私から対戦相手に「何か質問があれば」と促したところ出てきた実際の質問である。
5月になったので、4月から開始した人たちも2ヶ月目に突入ということで、いずれは役に立つ情報になるのではないかと思う。
では、ご覧いただきたい。
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== 集中について ==
Q1. 序盤でリードを奪っても、中盤でもたついてしまい、追いつかれそうになったり、追い越されてしまうことがある。
自分としては集中しているつもりだが、結果に結びつかない。どうすればよいか?(2018年1月20日 大学生/B級)
A. 集中できずに暗記がはいらないなら、声を出しての暗記のほうが効率がいいと言われているので、口の中でつぶやく程度でいいので、声に出して札を暗記する。
また、立ち上がって呼吸を整えるなどの方法も試してみてはどうだろうか?リフレッシュ効果が期待される。
Q2. 一試合の中で、序盤から集中すると後半に集中が切れてしまい、後半に集中力を残そうとすると序盤に差をつけられてしまいます。
一試合とおして集中を切らさないためにはどうすればよいでしょうか?(2018年7月1日 中学生/D級)
A. かるたの試合にとって有利な展開は「先行逃げ切り」だと思いますので、今はまだ「伸びしろ」が充分にある段階ですから、
「後半に集中力を残す」ことは考えず、序盤から集中するようにしましょう。それでいけるところまで行く。
そしていけるところまでの距離を少しずつ長くしていく。こうした考えでやってみましょう。
しかし、一試合の中には起伏があることは否めません。
集中力が切れ始めたと思ったら、立ち上がって深呼吸をするなどのリフレッシュ方法を考えましょう。
起伏があるときは、その起伏に合わせた集中のメリハリを考えてみましょう。
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== 暗記について ==
Q3. 手は札に行くが、暗記に自信がなく手が札の上で止まってしまうので払えない。どうしたらいいか?(2018年1月20日 大学生/C級)
A. 四隅に札を置いての払いの練習で、身体に距離感を含めて「払い」を覚え込ませる。
暗記に自信がないならば、掟破りだが露骨に攻めてる場所を見て取れば暗記の自信なさが払拭される。
暗記と視覚は結びついている。
Q4. 暗記時間の暗記のまわし方はどうしていますか?(2018年2月3日 社会人/B級) 。
A. 並べ終われば、自陣にどんな札が来たかは、だいたい頭に入る。敵陣にどんな札が来ているかを確認する。
席を立つ。席を立っている間に、札を見ないで頭の中で記憶に残っている札だけを繰り返し確認する。
席に戻り、音別の確認で暗記をまわす。2分前になったら、構えの位置の調整と払いの調整のため、
敵陣の左右下段への素振りを2〜3回する。試合開始の残りの時間は、別れ札のチェックを中心に取りのイメージを確認している。
だから、いわゆる暗記のまわしの回数は一回りを何回やるかという点では少ない。
暗記をまわす回数よりも試合の軸となると思われる札の確認を重視している。
Q5. 暗記時間に割と早く席を立っていますが、暗記を一回りしたわけではないのですね?(2018年2月3日 社会人/B級)
A. 席を立った時点では、まだ、音別の確認はしていない。席を立ったときに札を見ないで頭の中でしていることは、
まずは、自陣の札に何が来ていたかの確認である。その次が、席を立つ前に印象付けた、敵陣に固まっている
(短く決まってしまった)「とも札」や一字札、大山札など、自分自身にとって目を引く札の確認である。
札を見ないで、頭の中で確認することで、より深く印象付け、暗記に役立てる。
暗記を音別にまわし始めるのは、着席しなおしてからである。
Q6. 試合開始後のインターバルの時はどんな暗記のまわし方をしていますか?(2018年2月3日 社会人/B級)
A. まず、今読まれた札の同音の札の確認をします。決まり字が変化するケースも多いので、しっかり暗記確認します。
同音がなければ、始まる子音が一緒とか、関連するの音の札の確認をします。
このあたりは当たり前ですが、下の句の音での確認というのもしています。
たとえば、下の句の出だしに「ひと」が多いのですが、下の句が「ひと」と読み始められたら、「ひと」や「ひさ」の札を確認します。
それから下の句の一字決まり「つきとすさぬね」のどれかが読まれ始めたら「むすめふさほせ」の確認をしたりします。
下の句の「みをつくして」つながりでの確認や「わがころもで」つながりの確認などもします。
それから、出札を払って並べなおしているときに、崩れてないほうの札をみて暗記をいれたりすることもあります。
こんな確認方法は、ちょっと変かもしれませんね。
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中には、とても個人的な回答内容もあるので決して一般的とはいえないが、何かの参考になれば幸いである。
他の人にもいろいろ聞いてみて、自分自身で考え、工夫することが大事である。
実体験として自分なりに腑に落ちないと身につかないということは、肝に銘じてほしい。
Auther
高野 仁
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