甲左下段 | 甲左中段 | 甲左上段 | 乙右上段 | 乙右中段 | 乙右下段 | |
わすら | きみを | わたこ | ||||
みかの | あらざ | やまざ | をぐ | |||
やまが | あはれ | め | ||||
うら | たち | あはぢ | ||||
うか | なにし | みち | ||||
す | たき | やえ | ||||
たか | ||||||
なにわえ | つく | |||||
わび | かさ | |||||
せ | なげき | いに | ||||
ちは | わすれ | |||||
ひさ | この | なにわが | ||||
もろ | みせ | よも | おと | ひとも | ||
しら | ありま | はなの | ||||
みかき | はるの | たま | ながか | あさぢ | ||
おおえ | おほけ | きみは | ちぎりき | よのよ | ||
甲右下段 | 甲右中段 | 甲右上段 | 乙左上段 | 乙左中段 | 乙左下段 |
初形は、自陣の中段が少々少ないが、バランスはそれ程悪くないと思っていた。上段も10枚。
左上段には置かないのでいわゆる浮き札となる。YAも上段が多いといわれるが、今回は9枚。
双方の上段をどう取るかは、気をつけなければならない。ひっかけなどのお手つきは禁物である。
YAは、友札はきちんと攻めてくるはずだから、友札の攻めは私自身も意識して攻めなければ
ならないと感じていた。また、左下段は、私の自陣は結構抜かれるだろうと覚悟をしていた。その分
を敵陣の左で稼がなければならないという気持ちでいた。
暗記時間の15分は、否応なく過ぎていく。
詠みはTOである。個人的には、やや詠みのスピードが早いように感じる詠みである。もう少し、
ゆったりとした詠みのほうがありがたいのだが、条件は相手も一緒である。おそらく相手にとっても、
少々、間をとるのに早い感じがするのではないだろうか。
詠みが始まった。
(1)「わすら」
1枚目の「わすら」は私の左下段。YAに抜かれる。敵陣に「わすれ」があるので取られたこと
自体には問題ないが、自分自身の攻めの響きと相手の攻めの響きを比較すると全く響き負けている。
送り札は「あはじ」。「あはれ」と「あはじ」の友札がYA陣に並んであるので、当然の送りである。
私は、「あはじ」を「わすら」を抜かれたあとに置く。定位置であるからだ。「あは」の友札の別れ
を意識する。
(2)「あさぼらけう」…空札
「あさじ」が敵陣にあるが、私は響いていない。言い訳程度にそこに「あさじ」があることを確認
するかのように手を動かす。
(3)「あふこ」…空札
相変わらず響きは遅いのだが、自陣の右中段の端に「おほけ」、右下段の端に「おおえ」があるこ
とに意識があったため、「あふこ」を聞いてはいるのだが、思わず自陣のその2枚を取りにいってし
まった。しかも、しっかりと2枚を払っていた。そして、こういうお手つきの時に限って、「おほけ」
(中段)の下辺と「おおえ」(下段)の上辺を触るという縦置きの2枚取りの取り方としては、非常
に有効な器用な取りをしていたのであった。だいたい、こういう取りは、出札の時にはできずにお手
つきの時に限ってできるようなものなのである。皮肉なものである。しかし、どんなうまい取りも、
お手つきはお手つきである。「よも」を送られ、右中段に置く。早くも26枚対23枚と3枚差。
最初の25枚開始の枚数を増やしてしまうというのは、結構、気が重いものである。まだ、開始早々で
まだまだ挽回できるのだが、初形の枚数より多く札を持っているということ自体が気分をめげさせる
のである。競技者の気の持ちようとしてはよいわけがないのだが、それも、また自分なのだと受け入れ
ることにしている。気が重くなろうが何だろうが、まだまだ、始まったばかりである。「今に相手も
お手つきしてくれるさ」くらいのことを考え、とりあえず暗記を入れ直すことにする。
(4)「おも」…空札。
(5)「みかき」
自陣左下段に「みかの」、自陣右下段に「みかき」。左右にわかれた「みか」決まりだが、右の
「みかき」をキープする。試合開始後に1枚を取るとホッとするが、それでも、まだ25枚の開始
枚数のままである。次なる目標は、開始枚数を減らすことである。
(6)「もろ」
記録をみると「ゆっくり押さえる」とある。相変わらず響いていないのである。相手も響いてい
なかったようで遅い自陣右下段の取りで凌げた。やっと開始枚数の25枚からマイナス1枚となっ
た。
(7)「きみがためは」
大山札の敵陣右と自陣右の斜めの別れである。これを取られてもやむをえないという認識であ
る。「いに」を送られ、右下段に置く。
(8)「おと」
敵陣の左中段に端にある札から離れて置いてある札。この札を取るには払う感じではなく突く
感じで取りに行かないと取れないが、理想の手の出し方はできずに守られる。
(9)「はるの」
記録によるとYAが「きわどいタイミングを制す」との記述。自分なりに響いたと思ったが、
相手の攻めの勢いが上回ったようで、守り切れなかった。送りは「やえ」、右中段に置く。
(10)「みか(の)」
左下段はYAの草刈り場になってしまうのか。記録には「ジャストミート」とある。しかし、
左下段を抜かれるのは予測された事態であるので、自分自身としてはあまり気にはなっていなかっ
た。送りは「かさ」で、右中段に置く。こういう2字の送りは、相手はおそらく取る気まんまんで
送ってきているのだろう。
(11)「ひとも」
相手の左下段をキープされる。私は、敵陣の左の攻めができていない。
(12)「あまつ」…空札
7枚連続の出がこれでストップ。しかも相手の5連取。こういうときは、少し空札に続いて
もらって、相手に流れている流れを中断してほしいものだ。
(13)「かさ」
空札に続いてもらいたいという願いも空しく、相手の攻めっ気満点と思っていた「かさ」が
出て、右下段にしっかり取られてしまう。送りは「ありま」。上段「なにし」の左に置く。
(14)「いまは」…空札
(15)「なにわが」
先に行くも「1枚ズレた」、それを相手は「逃がさない」と記録される。敵陣左の取りが
ちぐはぐである。
(16)「なにし」
「なに」の連続。「なにわえ」も自陣にあるので、分ける前に出てしまった。きっちりと
上段の「なにし」を取られる。送りは「きみがためを」。ここまで相手の8連取。24枚対15枚。
序盤の9枚差は、相当にやばいという意識。相手のミス(お手つき)でもないと流れは変えられそ
うにない。とにかく、自分がお手つきしないようにして、辛抱強く取っていくしかない。
(17)「ちは」
自陣右下段を守る。相手のこちらの右下段への攻めがもっと厳しいかと思っていたが、右中段へ
の攻めのほうがのっているようだ。
(18)「あはれ」
敵陣の右中段に「あはれ」を抜く。記録によると「立て直し」とある。最初のお手つきをして
「おおえ」と2枚で「オー」決まりになっていた「おほけ」を敵陣に送る。この試合最初の送り。
YAは左下段に「おほけ」を置く。「オー」は縦の別れになった。攻め合えば手が交錯する可能
性がある。その時には、先んじていたいものである。
(19)「よのなかよ」
私の右中段の「よも」と相手陣の左下段の「よのなかよ」。記録によると「縦横無尽」。YA
は、攻めて戻れるのだ。それだけ、右中段の攻めがよいのだ。先んじられて、明らかに私は出遅れ
ているのだ。
(20)「たま」
記録によれば「得意の上段」とある。自然に響いて、手が札に対してまっすぐに出た。この取り
が敵陣の左の取りで出ればよいのだが…。
(21)「ちぎりき」
「抜けた?」と記録にある。響いていないのは、暗記が甘いせいなのか。自陣の上段にまっすぐ
出すような手の出し方は全くできていない。手さえ出ないのだから…。相手は13枚。こちらは
21枚。7枚連続の出である。
(22)「ひさ」
「右下段も抜かせない」との記録。ここが守れるとなるとありがたい。
(23)「おく」…空札
待望の空札。8枚連続の出でストップ。出の連続も、空札の連続も、リズムにのりづらい。
(24)「うか」
左下段に「うか」「うら」の2枚並びでの「う」決まり。左下段でも中央寄りなので、YAが
攻めてくるときは、突くようにまっすぐ手を出されるとこちらはお手上げなのだが、あまり響いて
いないのか、一字決まりになっているので守られると思ったのか、取れたことは、私にとっては
どちらかというとラッキーの感があった。
私は、左下段の札の間隔を拡げる。
(25)「う(ら)」
同じ所の同じ音の札が続けて出るというのも、取る側には落とし穴かもしれない。しかし、自陣
の利か、「友札連続キープ」。穴とも言える左下段でのキープは大きい。
(26)「む」…空札
(27)「わす(れ)」
YA、上段に守る。記録によると「流れ止めるか」とある。YA陣の上段は何枚かは取らなければ
敵陣を取っての送りができない。敵上段をうまく制することは、ひとつのポイントなのだが、随分と
送り札にされてしまった。
(28)「こぬ」…空札
(29)「ゆら」…空札
(30)「いに」
右下段への厳しい攻め。覚悟していた相手の攻めだ。記録では「会心の一撃」とある。私も敵陣の
右下段を抜かなければ、この苦しい展開の打破は難しいだろう。送り札は「つく」。私は左下段に
置く。
ここまで、18枚対11枚。高野が「
歌留多攷格」で区分した基準によれば、序盤は詠み約30枚めまでとなる。今回30枚で出札が
21枚。出がいい。ということは、これから出が悪くなるということだ。すなわち、空札が続く時
がある。こういうときがお手つきの危険地帯なのである。
相手のお手つきがなければ、逆転はなかなかに難しいだろう。とにかく、ギャラリーのことなど
意識せず、札を取ることに集中するしかない。繰り返し暗記を入れて、中盤で差を縮めなければいけ
ない。
こうして中盤に入っていく。さて、中盤については次回。