数字が語ること(1)

名人戦出場回数

Hitoshi Takano DEC/2009

 名人戦の舞台で、名人のタイトルをかけて番勝負に臨む。それは、多くのかるたマンの夢であろう。
 55期に及ぶその名人戦の舞台に立ったのは、26人。そのうち、名人位に届いたのは、わずかに10人 である。

(1)正木一郎(10期、永世名人)
(2)松川英夫(9期、永世名人)
(3)田口忠夫(2期)
(4)遠藤健一(2期)
(5)川瀬健男(4期)
(6)森 洋三(3期)
(7)種村貴史(9期、永世名人)
(8)平田裕一(2期)
(9)望月仁弘(3期)
(10)西郷直樹(11期、永世名人、現タイトルホルダー)

 この10人の名人に共通するのは、全員防衛経験があるということである。タイトル戦において、 防衛戦の難しさということがよく言われる中で、全員が防衛を経験しているということは特筆して よいことではないだろうか。

 名人戦は、東日本予選に6回出場(実は、私のA級デビュー戦は名人戦の東日本予選(1980年10月) である)で、初戦を突破したことが1度だけの予選通算1勝6敗の私が、名人戦のことを語るのも おこがましいので、数字を紹介することで、数字自身に語ってもらおう。

 さて、26人の出場者のうちで出場1回は10人、出場2回は2名であるが、出場3回以上の選手を以下 に紹介しよう。
順位
氏名
出場回数
名人獲得数
準名人獲得数
1
松川英夫
15
2
西郷直樹
11
11
2
種村貴史
11
4
正木一郎
10
10
5
川瀬健男
6
望月仁弘
7
田口忠夫
8
森 洋三
8
土田 雅
10
平田裕一
10
山下 義
10
鈴木俊夫
13
遠藤健一
13
前田秀彦

 名人戦は挑戦手合のタイトル戦であるので、基本的には、前年度の名人に予選と挑戦者決定戦 (3番勝負)を勝ち抜いてきた挑戦者が挑む。(前年度名人の辞退を受けた場合は、東西の予選1位 が名人戦の舞台で戦うことになる。第11期と第17期が該当する。)
 したがって、名人を獲得すれば、予選には出場をする必要がない。
 予選は10月に東日本、西日本でぞれぞれトーナメントで行われて1位が決定し、東西の1位同士が 挑戦者決定戦を戦う。挑戦者になるためには、負けられる試合は、挑戦者決定戦での1敗のみである。 特に、東西の予選は、1日に、名人を目指す選手たちに5連勝〜6連勝しなければならない。
 挑戦者になるには、非常に高いハードルを越えなければならないのである。
 そこで、予選から挑戦者決定戦を勝ち上がった回数の記録を見てみよう(11期と17期は予選勝ち あがり)。

(1)松川英夫:7回
(2)土田 雅:5回
(3)鈴木俊夫:4回
(3)田口忠夫:4回
(3)望月仁弘:4回
(3)川瀬健男:4回
(3)山下 義:4回
(8)前田秀彦:3回

 予選を勝ち抜き、挑戦者となるのをこれだけの回数重ねるということは、大変な記録である。

 そして、名人位には復位の記録もある。一度失ったタイトルを予選から勝ち上がって、復位する という偉業は、過去3人である。

 復位3回:松川英夫
 復位1回:川瀬健男
 復位1回:種村貴史

 これらの記録を見ただけでも、名人戦から学ぶものは多くあることがうかがえるのではない だろうか。

 来月行われる第56期名人戦が楽しみである。

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