私が年に数回練習の面倒を見に行く学校の生徒たちは、初級者が多いが、結構札を
動かす。典型的なのは、一字決まりになると必ず、左右どちらかの下段に降ろす生徒
がいる。彼は、同音の札が詠まれて、札が一字に決まるとすぐに下段に下げるのでわ
かりやすい。極端なことをいうと、こちらが決まり字を確認していなくても、彼が下
げたら一字決まりになったと思ってもよいくらいである。
私も初級者のころは、結構これを意識していた。一字決まりに変化した札を中段な
ぞに置いておくと、決まりをちゃんと数えていないように思われるのではないかなど
と変に意識してしまったものだ。
また、試合の途中で右に左に札を動かす生徒もいる。理由をきくと、左右のバラン
スの問題だそうだ。確固たる定位置が決まっていないのではないかとも懸念してしま
う。
私は、彼らが彼らなりの考えを持って、意思決定しているのだから、自分で納得が
いくまでやればよいと思っている。ただ、彼らが敵陣への攻めが甘いことを指摘して
いる。敵陣を取って、自陣のバランスが悪いところの札を送れば、それほど自陣の札
を意識しなくてもよくなるということは言う。一字決まりだって、敵陣に送って取り
にいけば良い話なのだ。要は、自陣で札を取ることにこだわりすぎているというのが
彼らの現状なのだ。
私は、今では極力札を動かさないようにしている。序盤では、最初の並びで定位置 に収まりきらなくなった札を定位置に戻すことがあるが、これも、できる限り送りの 対象となる札を一時避難場所に置くようにしている。中盤でも、札の場所を変えたい と考える札は、送りの対象となる札であることが多く、相手に送ってまた戻ってきた ら、変えたかった場所に置くなどの手段に出ている。ただ、右下段や左下段がなくな ると先に述べたように1枚だけそこに持ってくることはする。下段がないと手を置く 位置がぴったり決まらず、構えづらいのだ。終盤は、少し例外かもしれない。様々な 条件により、札を動かさざるをえない場合も出てくる。自分の中では、「直感で」な どのような理由ではなく、きちん理由付けができる考えに基づいて動かしているつも りである。(他人はそう思ってくれない面もあるが…)
札の移動についての考えも競技者によって千差万別であろう。これをお読みになっ
た方々の考えというのも是非聞かせていただきたいと思っている。
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