真夏の夜の夢
Hitoshi Takano Aug/2000
夢の団体戦
現在、競技かるた界で行われている団体戦は、会対抗戦や大学選手権で採用さ
れているの1チーム3人制と職域・学生選手権大会や高校選手権で採用されている
1チーム5人制の2種類が主流である。慶應の現役OB対抗戦などでは1チーム7人制
も採用したことがある。
個人的な意見だが、3人制はやや大味な感じがする。選手を集めにくい団体が3人
で団体戦をできるというメリットもあるし、3人ならば1チームを粒揃いの良い選手
で構成する可能性も高くなる。また、各チームの看板選手どおしの対戦が多くなるとい
う面白さもある。にもかかわらず、大味と感じるのは何故だろうか。3人制だと他を圧
倒する2枚看板が額面どおりの活躍をすれば、それで決まってしまうという面もたしか
にあるだろう。しかし、看板選手が看板どおりの活躍をするとは限らず、筋書きのない
ドラマが団体戦である。これをもって、大味というわけではない。思うに5人制との
比較なのである。5人制だと層の厚いチームでもどうしても、選手の実力にはある程度
の差が生じざるをえない。看板選手が3人でも、3人が全勝で優勝するなどというケース
はそうあるものではない。看板選手が3人もいれば、一人ぐらいその日は調子が悪い
という場合もある。時としては、看板選手以外の伏兵が好調で大活躍することもある。
こういう計算できない要素が5人制のほうが3人制より大きいからだ。それに、5人制
のほうが選手の配置を決める監督役の腕の見せ所が大きい。対戦の組み合わせは、3人
制よりは5人制のほうが確率論的にも複雑であるからだ。
甲チームには、A>B>C>D>Eという実力順の5人の選手がいて、乙チームには、
a>b>c>d>eという5人の選手がいて、A=a,B=b,C=c,D=d,E=eという実力の場合、甲チーム
の監督にとってベストの組み合わせは、A:b,B:c,C:d,D:e,E:aという対戦に組むことで
ある。こういう配置の読み合いや、補欠選手の用兵の妙の面白さは3人制よりも5人制
にあると思う。
では、7人制のほうが組み合わせはもっと複雑だから、もっと面白いかというと現実
にはそうではない。7人もいると選手の粒を揃えることができず、同一チーム内の選手
の力の差の幅が広くなってしまい、対戦が決まった瞬間に実力差での結果予測が見えや
すくなってしまうケースが多くなるからだ。
しかし、私の夢は9人制の最高に面白い団体戦を見てみたいというものである。
もし、全国の一流選手ばかりを集めたら、たとえ9人制であっても面白い団体戦が期待
できるのではないかと考えている。オールスター団体戦である。
オールスター戦
現在、選抜大会という大会がある。これは、ある意味でいえば、オールスターの個人
戦であるということもいえるかもしれない。
ただ、野球のオールスターにはファン投票があるが、選抜大会にはファン投票はない。
やはり、オールスター戦を企画するならばファン投票は、是非おこないたいと思う。
そして、オールスターは、やはり一種のお祭りである、スター選手が一回で姿を消すの
はもったいないし、スター選手同士の対戦を一試合でも多く見てみたい。そのためには
団体戦という試合形式がもっともよいように思うのだ。
名人・クインと準名人・準クイン、挑戦者決定戦敗者と選抜優勝者、選手権優勝者は
推薦とし、残りの枠をファン投票で選ぶというのはどうだろうか。団体戦は、東日本代表
対西日本代表とわける。人数は各チーム9人で、季節は夏休み中でどうだろうか。
東日本代表・西日本代表をそれぞれ最大3名ずつはがきに書いて投票する。今の時代
インターネットの受付もありだろう。選ばれた選手は、名誉なことだ。
当日は、3回戦制で、どちらかのチームが勝点2をあげたところで終了とする。
実はこの提案には、もうひとつ目玉がある。それは、監督のファン投票である。東日本
と西日本のチームの監督もファン投票で決めてしまおうというのである。いかがなもので
あろうか。
オールスター団体戦は、わたしの「真夏の夜の夢」なのである。
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