「学園祭」と「かるた」

Hitoshi Takano Nov/2001

学園祭の季節

 11月である。世間では、いわゆる秋祭は9月・10月に行われることも多いが、11月もまだまだ「祭」 の季節である。
 大学祭では、慶應の三田祭や東大の駒場祭は11月の勤労感謝の日前後に行われている。早稲田も以前は 文化の日前後に行われていた。文化の日の前後に行うところは多いのではないだろうか。

学園祭を普及の場として活用しよう

 さて、9月のTOPICで、“「学校」と「かるた」”という文章を書いたが、書き残したことがあった。それは「学園祭」・「文化祭」という学校行事の中でも一大イベントといえる「お祭」のことであった。
 競技かるた部のある学校自体が多いとはいえないが、文化祭などで発表や模範試合をするところもある。これ も普及活動の一つだろう。大学のかるた会になると、大学祭の期間は授業がないから、日々練習だというところ もあるし、部活動の資金稼ぎと称して(だいたいは黒字になったとしても打ち上げの飲み会の費用で散財して しまいがちかと思うが)、焼きそばやたこ焼き等の食べ物屋台を出すケースもふえてくる。こうなると、あまり 普及とは関係ない大学祭の過ごし方ということになる。
 しかし、大学祭で展示や演技といった活動をすると、普及の効果はやや広いであろう。大学祭には、在校生 だけでなく、受験を志望する高校生やその親、他大学生、卒業生、その他様々な見学者が来るからである。 慶應義塾の三田祭では4日間で10万人以上の来場者がある。ターゲットの範囲はひろい。もちろん、来場者 の全員がかるた会の会場に足を運んでくれるわけではないが、この機会をとらえて普及活動をすることは 決して無駄ではないだろう。
 学園祭ではオチケン(落語研究会)の客引きが目を引く。はでな色の着物は、混雑した学園祭のキャンパス の中でもひときわ目立つ。茶道会の着物も目をひく。かるた会だって着物で演技し、解説し、客引きすれば 目立つはずだ。
 なによりも正月のTVニュースや、衛星放送くらいでしか見れない競技が目の前で繰り広げられる迫力と いうのは売りになる。かるたは日本の正月の風物詩という認識は日本人の中にはあるだろう。しかし、犬棒 かるたくらいしか経験がない人が多い。でも、そういう人であっても、本式のかるたは百人一首というイメ ージがつよいのではないだろうか。
 それが、目の前で行われている。少しは立ち寄ってくれてもいいものである。

 現実に大学祭に参加してみると、「労多くして…」という場合もあるだろう。しかし、模範試合の方法や 観客参加の仕掛けや展示の工夫、イベント性の強調などいろいろな試行錯誤を繰り返していってほしい。 この試行錯誤の蓄積は、かるたのイベント参加の際の財産にもなりうると思うからだ。

 細い糸であっても、続けることで今に普及の芽が伸びて花開くことになる可能性はあるのだ。

 「新入生の○○です。昨年の大学祭で、競技かるたの発表をやっているのを見て、ここに合格したら 入部しようと思っていました。」

 こんな挨拶を一度くらいは聞いてみたいものである。

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