後輩への手紙(6)

Hitoshi Takano Oct/2001

新シリーズ登場

 好評を博しております“後輩への手紙”シリーズに新シリーズ登場です。5回にわたりお届けした “乙”君にかわり、“乙”君シリーズの第3回にちらっと出ていた“丙”君が主役です。“乙”君 ともども“丙”君もよろしくご贔屓に願います。

丙君への手紙(1)

前略 10月1日の内定式はいかがでした。来春からいよいよ社会人ですね。残された学生時代を有意義に 過ごしてください。

 社会人になると時間はそうそう自由になるものではありません。学生時代にやり残したことがあるなら 今のうちにやっておかないと後悔しますよ。もちろん、卒業できなければ社会人にもなれないわけですか ら、卒業論文などをきちんと仕上げることを前提とした話です。
 卒業旅行で海外にいくのもいいでしょう。遊びまくるのもいいでしょう。好きなことを悔いを残さず やってください。学生である時間はあとわずかなのですから…

 しかし、丙君。ちょっと「かるた」に思いを向けて見てください。大学生になってから、競技かるたを 始め、今まで来ましたが何かやり残したことはありませんか?会の「学生責任者」を2年生の時と3年生 の時と2年間も続け、いつも「会」のことが気になっていたのではないですか?

 卒業までの時間、「会」のためではなく自分のための「かるた」に使ったとしてもバチはあたらないの ではないでしょうか?

 慶應の練習に来ると今年度たくさん入会した後輩たちの指導が中心となります。慶應の後輩に丙君のスピ リットと技術を伝えていくというのも大切なことですから、それはそれで意義あることだと思います。 しかし、丙君がB級を抜け出せずにいるのは、今の練習環境もあるとは思いませんか?
 ここはひとつ学生生活残りの半年でA級を目指しませんか。丙君がA級を目指すための方策を私なりに 考えてみました。そんなことは自分で考えているので大きなお世話だと思わず、読むだけ読んでみてくだ さい。

 まずは、首都圏の大会だけでなく地方開催の大会にも出場しまくることです。地方の大会は首都圏の大会 にくらべてB級出場者の人数が若干少ないということもありますが、挑戦の機会は多ければ多いほうがよい ということもあります。公式試合に数多く出るということは、試合という環境に身体を馴染ませるという 効果もあります。難点は、交通費等がかかるということですが、社会人になれば自分で稼げます。自分の 蓄えが不足するようでしたら、あと半年のことです、一時的に親から借りるという手もあるかと思います。 元手がかかっているからガンバロウという気持ちにもなりやすくはありませんか?

 次には、練習しまくるということです。後輩への練習が悪いとはいいません。伸び盛りの後輩たちの 勢いをしのぐというのはそれなりによい練習になりますが、やはり今の時期の1年生相手では指導的側面 をもたざるをえません。自分より強いさまざまなタイプの相手にぶつかっていく練習の回数をふやしまし ょう。それには、出稽古です。他流試合です。W大やT大などの大所帯の大学や、強豪高校や一般会の練習 に行ってみましょう。水曜と土曜は慶應の練習、日曜は試合、他の曜日は他の会の練習を探して参加する。 ぜひ、週6日くらいの練習を目指してください。週7日といわないのは、週1回くらいは身体を休ませる ことも必要だからですが、1日に1試合でも他の会に足を運ぶ努力をしてみましょう。慶應の土曜練習が ないときなど、八丁堀のClub8などに参加するとさまざまなタイプのかるたと出会えます。月曜の夜のA大 の練習なども18時から三試合ですから参加しやすくないですか?2月・3月は合宿のはしごも非常によい 練習になります。

 就職したら、「かるた」の時間をつくるのには苦労するようになります。そうなると力を落とさないため の練習になり、なかなか強くなるための練習時間を確保できなくなります。強くなるための練習するのは まさに「今」しかありません。この時期にそういう練習をしておけば、仕事をしつつも3年くらいはがんば れると思います。

 余計なことかと思われるかもしれませんが、ぜひ、考えてみてください。そして、丙君にとって残りの 学生生活が有意義なものとなりますようにお祈りしております。

 では、また、練習の時にでもお会いしましょう。
草々


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