「考慮時間」を考える
Hitoshi Takano MAY/2003
テレビの将棋番組や囲碁番組を見ていると1手30秒というルールがベースになっている。その他に1分単位で10分の考慮時間がついていたりする。
秒読みのスリリングさもあるが、考慮時間をどの局面でどの程度使うかといった興味を視聴者にいだかせる。
そこで、競技かるたにもこの考慮時間を取りいれたら面白いと思う。しかし、競技かるたは、一組だけが試合をしているわけではない。通常のトーナメントでも決勝戦は各級の決勝が行われたりするし、名人戦というタイトル戦も、クイン戦と同時に進行する。この案を取り入れようとすれば、単独の決勝とか、タイトル戦の構造自体を変えなければならない。
そうではあるが、あえて提案する。
まずは、A級の決勝戦。これは他の級があろうが優先することにする。考慮時間をそれぞれ1分単位で5回もつ。1分を5回にわけることも可能だし、5分という5回分を1度に消費してもいい。これは、選手の使い方次第である。読み手を待たせて、送り札を決めるときに使ってもいいし、単に気持ちを落ち着かせるので読み手を待たせるのでもいい。
これをやると何がいいか?
決勝戦は、双方何試合も取って来ているので、疲労して凡戦になるということが言われる。片方が疲れていてワンサイドゲームになったり、双方お手突きの応酬になったりとか…。この制度を取りいれるとこれが多少、緩和されるのではないかと思うのだ。
何試合取っても、変わらぬように日頃から鍛錬すべきだというのは正論だろうが、面白みもますのではないだろうか。
もうひとつの提案は、この考慮時間を取りいれた男女混合の新タイトル戦(挑戦手合い制)を創立してしまうというものだ。タイトル戦と、挑戦者決定戦、準決勝、できれば準々決勝は、一組ずつしか行わず、この考慮時間制を採用するというものだ。審判もしくは立ち合い人がストップウォッチを持って、札の送りの秒を読み(札を並べ終えて20秒以内)それを超えると考慮時間を計時し始めるというものだ。
いかがなものであろうか?
実は、団体戦でも試合の途中で作戦タイムを取りいれてはどうかとも思っているが、これも決勝戦を単独でやる時しかできないだろう。あと、決まり字とか教えあうという懸念もあるが、団体の決勝に限って気にしないことにしてしまってはどうだろうか?
監督が3分のタイムを1試合につき、2度取れるというのはどうだろうか?
賛否はあるだろうが、見ている側には試合に新たな興趣を持つものであろうし、戦う側にもさらなる工夫が求められるところである。特に監督の手腕が発揮できる機会であるだけに、指導者の指導理念の戦いという側面も見えて面白いのではないだろうか。
見る側が勝手に面白がっては、戦う側には申し訳ないが、競技かるたの面白さを普及するための一つの工夫だと考えてこの稿を読んでいただきたいと思う。
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