個人的に嬉しい話

Hitoshi Takano JUL/2003

 実は、先月、五段の免許が届いた。競技カルタの世界に身をおいて四半世紀、25年目の節目の昇段である。四段昇段が平成元年であったので15年ぶりの昇段でもある。

 今年の4月に申請して、認めていただいた。免許が手元に届いたのは6月であったが、免許状には、平成15年4月12日と日付が入っている。ということは、昇段日から免許状が手に届くまで、カルタは一試合も取っていなかったということになる。五段を意識せずに、みっともないカルタを取ることがなかったというのは、幸いだったともいえるかもしれない。

 さて、段位の免許の文言は、各段異なっている。この文言については、下記のURLでご確認いただきたい。

 http://web.sfc.keio.ac.jp/~takano/menkyo.html

 免状とはいうものの、初段から八段までは免許状だが、九段は允許状で、十段は推挙状であり、免状とじゅっぱひとからげにいうのは実は正しくない。話しは違うが、たしか以前、全日本かるた協会では、現役は八段までとするという方針が打ちだされたことがあったと記憶しているが、現在ではそれも崩れているようである。

 実は、この段位についても、競技種目によって、相当運用方法が違う。柔道や剣道などでは、全日本選手権を制するような現役選手の段位は四段〜六段くらいではないだろうか。それ以上の段位というとほとんど指導者の域であろう。アマ相撲などでは、アマ横綱でも四段程度かと思う。格闘技で「道」を称する場合(相撲も相撲道である)、段位は単に強さではなく、「道」という意味の精神性にもよるからであろう。
 囲碁や将棋になると、現役のトップ選手は、八段・九段であることが多い。(将棋の場合、アマの最高段位はアマ名人三期で七段ということになっている。アマ五段は県代表クラスと言われる。プロの養成期間である奨励会の試験を受けるレベルでも、アマ四段・五段を持っていて、試験に受かってもほとんどは奨励会六級スタートであり、アマとプロの段位の差は非常に大きい。)ちなみに、囲碁では十段戦というタイトル戦があるし、将棋も過去においては十段戦というタイトル戦があった。さきに述べた「道」系の格闘技種目では、十段戦というタイトル戦の発想は出てこないだろう。
 かくも、競技種目によって段位の運用は異なるのである。

 そう考えると我が競技カルタ界においての段位は、囲碁・将棋系と「道」派の格闘技系との中間的なものであろうか?
 将棋の名人戦には、A級というランクの人間しか挑戦できないし、A級であるということは、必ず八段はあるという制度なので、名人戦挑戦者は、八段か九段である。一方競技カルタは、A級が四段以上なので、四段でも名人戦の挑戦者になれるわけである。また、十段位はタイトル戦であるわけがなく、斯界の特別な功労者を推挙するという形である。先ほどは中間的とは言ったが、実際は「道」派の格闘技により近いものがあるようにも思える。
 段位というものが、何のグレードを示すものなのかは、結構奥が深い問題だろう。

 さて、話しを最初に戻そう。今回、私は五段を免許された。これは、本当に嬉しいことである。四半世紀斯界に関わってきたことに対するご褒美とも受けとめている。今後も、段位に恥じぬよう競技ならびに斯界の発展のために努力していきたいと思う。

 今回は、この昇段に際しての抱負を、私の個人的なTOPICとして記して筆をおくこととしよう。

 では、また八月のTOPICで…。

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