年の瀬

Hitoshi Takano DEC/2003



年の瀬の 街中に響く 札の音



 「としのせの まちなかにひびく ふだのおと」と読んでいただきたい。小生の句である。
 以前に「夏は、世間のイメージとは違うが、実はカルタのシーズンである。」という話しを書いた。冬のしかも正月のものと思われがちなカルタだからこそ、夏の暑い盛りに汗をかきかき取るカルタというイメージ的ギャップの面白さを意図して書いたわけである。
 今回は、冬に対する夏という対極のイメージではなく、年の始めに対しての一年の終わりという対比の面白さから、読んだ句なのである。

 実際、12月という時期は選手にとって大事な時期であると思う。

 何故か?

 特に名人戦やクイン戦のタイトル保持者と挑戦者にとっては、1月初旬の試合を見据えた大事な調整時期である。たとえば、当事者が会社勤めであれば、仕事のあとなどに時間をつくることはなかなかに大変であるし、仕事が終わったあとの時間に練習相手をしてくれる人を探すのも相当に困難である。それに仕事が終わったあとの時間では、何試合も取れるわけではない。ある程度、名人戦等の開始時間などを意識して、一日がかりの練習をしようと思えば、日曜・祝日とか年末年始休暇に頼らざるをえないだろう。

 まさに年の瀬の練習が大きな比重をしめているか想像にかたくないだろう。

 また、名人戦やクイン戦に関わらない選手であっても、12月は大事な時期なのである。
 皆さんがお考えになるとおり、1月はカルタ大会のハイシーズンである。いや、1月だけではない。2月までは、大会ラッシュが続き、3月は地方開催の大会も多く、3月の終わりには、学生選手権や団体戦の職域・学生大会が控えている。年度末の学生絡みの試合は、思いの深いものがある。卒業により、所属している学校での最後の試合となったり、学生生活最後の試合となったりするからである。
 これは、少し本題からそれたろうか?要するに12月は、1月から3月までの一連の大会ラッシュの流れで、この間の力を蓄える上での重要な時期であるということである。特に学生の立場を考えれば、冬休み中の集中練習の持つ意味が大きいのである。

 年の瀬の 街中に響く 札の音

 この句に込められた意味をご理解いただけただろうか?


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