夏休み

Hitoshi Takano AUG/2004

 「八月」のタイトルを考える時、候補はいくつかあった。「合宿」「職域」「宿題」……。しかし、結局、一番平凡かもしれないが、「夏休み」にした。今年度は、4月以降の新入生の視点を考えてのTOPIC設定だから、このタイトルが一番すわりがいいだろうと思ったからだ。

 さて、大学1年の夏休みは、なかなかに特別なものではないだろうか。
 なぜなら、前の年の夏休みは、「受験生、成績アップの鍵を握るのは、夏休みの過ごし方にあり!」ということで、「受験勉強の夏」であったからだ。人によっては、その夏が2年続いた人もいるだろうし、3年続いた人もいるだろう。
 こうした受験の夏から、久々に解放された夏休みが、大学1年の夏休みなのである。

 アルバイトに精を出す人いるだろうし、長期の旅行を計画する人もいるだろう。不幸にも、大学に入ってまでも宿題を課されて、そのために時間を費やさなければならない人もいるだろう。
 しかし、多くの1年生は、クラブの合宿とその合宿の費用を捻出するためのアルバイトに時間をとられているのではないだろうか。

 わがカルタ会の1年生も例外ではなかろう。

 受験勉強ではないが、夏こそ実力アップの機会なのである。それには、集中して、練習の数をこなす夏合宿が効果的である。
 そして、カルタ界では、夏に試合がある。大学選手権と職域・学生大会という団体戦であり、その団体戦の前後に行われる個人戦である。大学選手権は滋賀の近江神宮で行われるし、職域・学生大会は、東京で行われる。東京の学生は、近江神宮までの交通費と宿泊費がかかるし、関西の学生は東京までの交通費と宿泊費がかかる。これに合宿の費用である。合宿も大学の近くでやるわけではないので、交通費と宿泊費がかかる。
 地方に帰省している学生は、さらに費用がかかることになるだろう。

 合宿の効果は先に述べたが、この団体戦のための練習も、新人の実力アップには効果がある。団体戦への力のいれ方は、やはり違うのである。先輩達の気合のいれ方に引きずりこまれていくので、普段以上に真剣な練習になるのである。さらに先輩達は、試合当日にトップコンデションに持っていくように調整している。したがって、これも普段以上に強い状態の先輩と練習ができるのである。
 そして、新人は、出場許可チーム数の関係で団体戦には出れないかもしれないが、個人戦に出ることができる。この実際の試合の1試合が、普段の練習からは学べないことを教えてくれる。この体験も、実力アップにつながるのだ。

 かくのごとく八月には、実力アップの機会がごろごろしている。これを利用しない手はない。
 ただ、この機会を利用するには、先に記したとおり、先立つものが必要になる。

 かくして、夏休みは、アルバイトとカルタに明け暮れることになり、受験勉強時代の夏休みを知っている親からは、「大丈夫なの?」と心配されるはめになる。

 なんにしても、大学にはいって、初めての夏休みである。自分自身悔いのない過ごし方をしてほしい。



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