儀同三司母
忘れじの行く末まではかたければ
けふをかぎりの命ともがな
決まり字:ワスレ(三字決まリ)
儀同三司とは藤原伊周のことである。太政大臣・左大臣・右大臣の三司と同じ儀式の格式を
認められていたので、儀同三司と言う。その母である高階貴子であり、道隆(関白)に見初め
られる前は高内侍と呼ばれていた。子には、伊周のほかに、中宮定子、中納言藤原隆家。「いまは
ただ」の道雅は伊周の子なので、作者の孫にあたる。
伊周は内大臣から太宰権帥に左遷されるので、その関係者ということで、政治的敗者側の法則、辺境
にゆかりの法則など、百人一首に撰ばれる法則の一つにあてはまっているといえよう。
あなたは、わたしのことを忘れないでいてくださるとおっしゃいますが、人の心はうつろいやすい
ものでございます。行く末永くお願いいたすことがむずかしことですので、お情けをいただいている
今日をこの日限りと死んでしまいたいと思います。
新古今集の詞書には「中関白かよひそめ侍りける頃」とあるので、道隆の寵愛を受け始めた頃の
熱い心情の吐露ともいえる歌である。
これが95番目のリンクである。残すところ、あと5つである。
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2008年5月4日 HITOSHI TAKANO