愛国百人一首

北畠親房

鶏の音になほぞおどろく仕ふとて
   心のたゆむひまはなけれど


<愛国百人一首における決まり字>
トリノ(3字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
ト音3枚中の1
<歌意・鑑賞>
 「おどろく」は、目を醒ますの意味である。びっくりするという意味に使うこともあるが、古歌 においては、目を醒ますという意味が大部分である。
 「初句+二句」と「三句+下の句」の倒置と考えて読ばよい。
 君につかえまつるのに少しも心の隙はないが、早暁に出仕しようと思って仮眠していて 鶏の鳴く声に目が醒めた。(早く出仕しようと急ぐのだ)
 このような大意である。
<コメント>
 南北朝時代の公家。村上源氏の庶流という。南朝方で活躍した北畠顕家は子。後醍醐帝に 仕え、帝の信任はあつく、万里小路宣房・吉田定房とともに「後の三房」と称される。 これは、白河帝に仕えた藤原伊房・大江匡房・藤原為房の三人の 賢臣が「三房」(後の三房があらわれたので、こちらは「前の三房」と呼ばれるようになる) と言われたことにちなむ。
 後醍醐帝の皇子世良親王の養育係をつとめる。親王が亡くなり出家し宗玄と名乗った。元弘3年、 後醍醐帝が隠岐から還幸すると、建武の新政の中で、重く用いられる。
 顕家には先立たれるものの自身は、淳和奨学両院別当、源氏長者などを兼ね、従一位、儀同三司 (准大臣)にいたる。
 出家し、覚空。1354年に没。
 著作としては「職原抄」「神皇正統紀」が有名。特に儒教の中でも宋学の思想をもって書かれた 「神皇正統紀」は、徳川光圀の「大日本史」にも大きな影響を 与えたと言われる。水戸学と結びついたことでのちの「皇国史観」にも影響を与えた。

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2008年5月27日  HITOSHI TAKANO