愛国百人一首
大中臣輔親
山のごと坂田の稲を抜き積みて
君が千歳の初穂にぞ舂く
<愛国百人一首における決まり字>
ヤマノ(3字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
ヤ音5枚中の1
<歌意・鑑賞>
近江の国の坂田の郷の悠紀斎田から刈り上げた稲を、山の如く抜いて積んで置いて、君が
千年まで栄えるための初穂にと臼について奉る。(これをきこしめして、いや栄えに
栄えませ。)
大嘗会には悠紀と主基とが国郡によって定められる。その国郡の稲を御料とする。その稲穂を
抜いて稲を舂くべく唱える歌が、稲舂歌である。伊勢の祭主である輔親であるからこその歌で
あろう。
「山のごと積む」はたくさんの意味であるが、祝詞の「横山の如くうち積みおきて」から出て
おり、「坂田」の「坂」の縁語である。
<コメント>
父は、梨壺の五人の一人で大中臣能宣で、娘は「いにしへ」の歌で
当意即妙の歌を詠んだ伊勢大輔であり、ふたりとも小倉百人一首に採ら
れている。
正三位にいたり、伊勢への使いの道で85歳で病死。
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2008年5月31日 HITOSHI TAKANO