愛国百人一首

藤田東湖

かきくらすあめりか人に天つ日の
   かがやく邦のてぶり見せばや


<愛国百人一首における決まり字>
カキ(2字決まり)
<愛国百人一首における同音の数>
カ音8枚のうちの1
<歌意・鑑賞>
 江戸期の和歌に「アメリカ」などという言葉が出てくることに違和感を感じるが、攘夷思想の 拠点のひとつであった水戸藩にその人ありといわれた藤田東湖の歌であれば、さもあらんとも思う。
 「あめりかびと」の「あめ」は、「雨」と「アメリカ」の掛詞になっている。というわけで、 空が暗く雨が降るそのアメリカ人に、日の光がさし輝く我が国日本の風俗を見せてやりたい。
 「てぶり」は風俗ということだが、日本の良俗とでも訳したほうがよいかもしれない。
 「暗く雨が降るアメリカ」と「日の光の輝く日本」という好対照で歌を構成している。
 攘夷の対象とすべきアメリカを小馬鹿にした印象の歌であるが、この歌が詠まれた翌年には、その アメリカの黒船が日本に来るのだ。
<コメント>
 斉昭の腹心として、斉昭藩主就任後に藩で重く用いられる。斉昭の隠居謹慎の際、ともに藩政から 失脚。藩政復帰後、安政2年の安政大地震で、母親を救助に戻り、圧死した。享年50歳。
 遠祖は、小倉百人一首に採られている歌人の一人小野篁といわれる。

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2008年5月18日  HITOSHI TAKANO