後京極摂政前太政大臣

きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに
   衣かたしきひとりかも寝む


決まり字:キリ(二字決まリ)
 25番目のリンクで、やっと4分の1である。

 さて、本題にはいろう。
 子供のころ大人にまじって百人一首をする中で、子供心に覚えやすい歌というのがある。 その代表格が、冒頭に「きりぎりす」という子供もよく知っている虫の名前とか、 「ほととぎす」という鳥の名前が出てくる歌である。
 今では、都会の子は、キリギリスの実物を見たことがないとか、デパートで虫かごに 入れられて売られているのしか知らないということも、ままあることだろう。キリギリス は、イソップ童話の絵本「アリとキリギリス」で知ったというほうが、場合によっては 多いかもしれない。
 とはいいつつ、この歌に読まれているのは、「こおろぎ」である。当時は、こおろぎを キリギリスと呼んでいたのである。
 オスのこおろぎを戦わせる「闘蟋(とうしつ)」という中国の伝統的遊びもある。

 作者は藤原(九条)良経で、摂政、太政大臣、従一位と官位を究めたが、40歳になる前に 暗殺されたという説がある。暗殺説を信じるとすると、和歌に造詣が深く、暗殺されている 点では、鎌倉右大臣(「世の中は」の作者、源実朝)と共通点がある。
 非業の死は、歌詠みというよりは、政界の人物であったということなのだろう。

同じ作者の愛国百人一首の歌へ

小倉百人一首のページへ戻る
決まり字一覧へ
2008年3月  HITOSHI TAKANO