続・後輩への手紙(V)
Hitoshi Takano MAY/2009
前略
上級生のみなさん、今年は、新入生がたくさん入って本当によかったですね。MISAのチラシ効果が
大きかったようですが、練習に参加していて問題点も感じます。
それは、新人の多さに比較して、上級生の数が少ないということです。今年の新人の集団として
の特徴は、経験者が少なくほとんどが初心者ということです。土曜日の練習などを見ていても、6人
新人がきていても、経験者は1名ということになると、5人の新人を上級生が指導しなければなりま
せん。OBがいないと現役だけでは、指導の手が足りないというのが現状のようです。
新入生同士の試合形式の練習を組んで、なんとかしのいでいるのですが、はたして、初心者同士
の練習で、先輩がつきっきりで見ているわけでないので、ふりかえりができていないというのが
正直な感想です。先輩が見て、きちんと1試合を振り返らせてあげたほうが、現在の初心者状態
のときには効果的です。初心者同期のライバル意識は芽生えるかもしれませんが、自分たちで
試合を十分に振り替えることができていないと思います。
練習を効果的にする意味では、先輩の指導はかかせないところです。新人同士の試合を組むのも
いいのですし、それも同一カードがしょっちゅうまわってこないだけの人数がいるというところで
救われてはいますが、考えるべきところでしょう。できれば、先輩と新人の指導対戦をもっと多く
組むべきじきではないかと思っています。
理想はわかっていても、新人の参加人数にくらべて、上級生の参加数が十分でないことは、上級
生にもいろいろ都合があるということでやむをえないということはわかっています。OBが参加できる
土曜はともかく、金曜日の練習においては、少々心配をしようというものです。
そして、練習場の関係で週3日の練習が確保できていない状況も心配の種です。そうすると週1回
の練習という新入生もでてきます。この時期は、やはり回数を重ねることが上達の近道です。
しかし、先輩の数不足で指導が手厚くできないとか、回数を重ねることができないとかという
状況は、すぐ簡単に解決できる問題ではないのですから、それなりに、与えられた現状でできる
効果的な方法を考える必要があるわけです。
その方法は何でしょうか?
それは、練習前の時間や、自宅でもできる練習方法を新入生に教えることです。そうすれば、
わずかな時間を使って、自分で練習することができます。方法を教えて、それをするしないは
あとは、新入生たちが自分で強くなりたいと思うかどうかです。自己責任といってもいいでしょう。
新人同士の対戦で負けて悔しいと思えば、きっと、なにかをするのではないでしょうか。
では、私が推奨する練習を以下に紹介しましょう。
一つは、暗記のあやふやな新人もいるようですから、望月前名人が秋にMIYUKIに課した、“札
めくり「決まり字」言いのタイムトライアル”(以下「決まり字TT」と記す)です。
決まり字TTは、札を裏返して1枚づつめくり、瞬時にその札の決まり字を言うというものです。
これを25枚なら30秒、50枚なら60秒を当面の目標とすればよいでしょう。時間のある時に1年生
同士で競争させれば、ライバル意識に火がつくことになるかもしれません。
もうひとつは、「払いの練習」です。敵陣左右下段の端と自陣の左右下段の端に札を置いて、
払いの練習をすることです。これは一人で自宅でもできます。できれば、誰かに読みをやって
もらって、上の句のタイミングで払いの練習ができればよいと思います。
もし、練習前の時間を利用して払いの練習をするのであれば、通称「札ノック」をやるのも
いいと思います。一人が、1枚づつ札をアトランダムに置き、その置かれた札をもう一人が
置かれた瞬間に払うという稽古です。
練習が始まるまでの待ち時間で、新人に練習させるならば、「むすめふさほせ」の7枚中
3枚づつをわけて、取らせるというのもいいと思います。3人いれば、読みを交代しながら
短時間で何度もまわせます。
短時間の練習ならば、「五色かるた」の1色を使った練習なども、ひとつの方法です。
まあ、一人でできるというのは、決まり字TTと払いの練習でしょう。また、任天堂DSを持ってい
れば、「DS時雨殿」のソフトを買ってくれば、一人練習に多少役立つと思います。
もし、任天堂DSの「DS時雨殿」があれば、読み上げ機能もありますから、敵陣・自陣に25枚
ずつ並べて、本格的一人練習もできると思います。この一人練習で、敵陣も自陣の定位置で並べ
ると、自陣の定位置が相手からどう見えるかということに気づくことにもつながるという効果も
あると思います。
自分がどう見えるかを気づくということでは、フォームをビデオに撮影して本人に見せるというのが効果があるのですが、ビデオがないことには始まらないので…。
さて、上級生のみなさん、今まで書いたことは、OBからのひとつの提案にすぎません。みな
さんの考えるもっと効果的な指導方法があれば、ぜひ実践してみてください。
それが、マンガ「ちはやぶる」(講談社、BE・LOVE連載中)やマンガ「かるた」(秋田書店、
少年チャンピョンコミックス)を読ませるということでもいいと思いますし、私のHPを読んで
もらうことでもいいと思います。
指導することは自分への成長にもつながります。上級生のみなさんの活躍に期待しています。
では、また練習でお会いしましょう。
草々
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