続・後輩への手紙(X)
Hitoshi Takano JAN/2010
前略 Mさん、新会長就任おめでとうございます。真面目なMさんのことだから、
いろいろ思い悩むことがあるかもしれませんが、悩みがあったら、私をはじめ会の先輩
や周りの仲間に相談してください。
いきなり、少々マイナス面の想定で書き始めてしまったけれども、許してください。
真面目で責任感があるので、OBとして安心していられる反面、その自分自身の真面目さに
囚われてしまってはいけないと思ったからにほかなりません。本当にしっかり者のMさん
をOBの一人として会の運営やOBへの配慮などの面で頼りにしていますし、それができる
会長さんと信じているのです。
そういうわけですので、あえて、余計なことを言わせてください。
さて、Mさんの会長としてのビジョンはなんですか?
まず、それを明確にし、会員と共有することが必要なのではないでしょうか。
1年は短いのです。これがないと漫然と日々が過ぎてしまいます。たとえば、職域学生
大会という最大の団体戦をひとつの目標に置くとすれば、3月と8月です。1年はないの
です。会対抗戦を考えれば、それは2月です。これは、前会長の責任の範囲かもしれませ
んが、翌年のそこまでを自分の使命と考えるかどうかも、どこで誰が決めたということは
ありません。会長が、どうとらえるかを言明していかなければ動かないと思ってください。
8月の大学選手権にしても、職域学生との絡みも考えつつ、ビジョンを示すことが必要です。
やはり、任期を1月〜12月と捉えれば、会長としての考え方、ビジョンを示して具体的
に目的・目標に向かって会員をまとめていけるのは、団体戦を核に、特に8月の団体戦に
向けてのビジョンとメッセージなのだと思います。
ぜひ、そこを明確にしていってほしいと思います。
個人戦での会員の活躍に向けてのメッセージも必要なことだと思います。特に、夏の団体戦
のあとは、そちらにシフトする部分も多くありますから。個人戦で会員が活躍し、上の級にあ
がっていくことも、団体戦で戦う相手に対するプレッシャーを与える意味でも重要なポイント
です。個人戦も団体戦のために戦うのだというのは、富士高等で長年指導されたK先生の考え方
でもあります。Mさん自身でもこのことを考えてみてください。
もうひとつ大事な点があります。それは、新入会員を確保することです。これは、4月のオリ
エン・新歓の課題です。昨年、大勢の1年生が加入したことが、すなわち、数の確保が質の向上
に影響を与えたことを実感したのではないでしょうか。まずは、数を入れることです。そのため
の仕掛けは、Mさんが現1年に指示を出して進めていくべきことだと思います。
次に入会した新会員に対しての指導が問題です。これは、今から、現1年生に意識させたほう
がいい課題です。試合が終わったあとの感想をきちんと相手に伝えることをこの1月〜3月の間
に意識してさせたほうがよいでしょう。また、指導方法について、1年生間で考えさせて、あま
りばらつかないように意思統一させておいたほうがいいかもしれません。
それから、老婆心ながら言わせてもらえれば、B級4人・C級2人(1月4日現在)の現1年生
について、みんな上の級を目指し、A級を目標としていると思いますが、みんなにしっかりと認識
させておいてほしいのは、A級になることは、決してゴールではないということです。むしろ、A級
というスタート地点に立ったに過ぎないということです。A級とスタート地点に立つために、今、
下の級でがんばっているのだというように思ってもらったほうがよいのです。
A級にあがってからも、多くの大会で経験を積み、超A級選手と取り、そこで感じたことを、仲間
や後輩に還元するのも、A級選手の務めなのだと思ってもらってください。それが、個人戦も団体戦
のためということの一つの物の見方でもあります。
最後に、こうしたビジョンを示し、メッセージを伝えて、現1年生や現2〜3年生に役割分担を
したら、自分自身としては、自分自身が強くなることに集中しましょう。会長になって会務が忙し
くて、かるたに集中できずに強くなれないということほど悲劇はありません。
会長は、方針を決め、その方針に向けて、会の仲間を協調させていく仕事をすれば、あとは自分が
ひたすら強くなるだけです。
Mさんのかるたについて、私からの一言は、1試合の流れの中で、ここはポイントだと感じた局面で
自分のかるたの殻を破るような、自分のかるたスタイルとはあえて違うようなことを意図的に試して
みてほしいということです。
どうも、自分のかるたのスタイルの中にこじんまりとまとまってしまっているようにみえてしまう
のです。そういう視点からみると、上記のようなアドバイスになるということです。
「もうそういうつもりでやっています」ということでしたら、余計なこととご放念ください。また、
会長としてのありかたについても、自分ですでに考えていたことですということであれば、これまた、
OBのおせっかいと忘れてください。
なんにしても、Mさんが会長であり、周囲の意見をいろいろ聞いても、最終的に決めていくのは会長
の役割なのです。これは、敵陣に何の札を送るかということを決めるのと同じように「用捨在心」で
行うことです。
私も、許される範囲でMさんをバックアップします。
新会長がんばれ!!
草々
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