続・後輩への手紙(番外)

Hitoshi Takano MAR/2010


前略 1年生、2年生のみなさん。4月になるとそれぞれ進級し、2年生と3年生になる ことでしょう。ひょっとすると原級にとどまることになる人もいるかもしれませんが、新入生 がかるた会に入ってくれば、学年はともかく先輩になることはたしかです。(まれに、2年生 や3年生、4年生から入会する人もいますが…)
 さて、今回は、上記のような時期なので、今年度複数回対戦したみなさんへメッセージを届 けたいと思います。
 まずは、会長さん。静岡大会入賞おめでとうございます。着実に歩を進めていますね。前に も伝えたと思いますが、1試合の流れの中で、1回でいいから、「ここは大事だ。勝負の流れ に影響を与える肝になる場面だ。」と思うところで、ぜひ、恥ずかしがらずに「ファイト」で も、「さぁ1枚」でもよいので、掛声をかけてみましょう。たんたんと札を取ることもいいの ですが、会長さんが自分の殻を打ち破るというきっかけの意味で効果があると思っています。
 次はミサさん。最近、練習であまりお会いしませんが、いろいろな活動で忙しいことと思い ます。しかし、あまり間をあけずにコンスタントに練習を続けることが大事です。ミサさんが 強くなったのは、継続的練習がその背景にあったからだと思います。かるたは、序盤・中盤で 離されないようにしましょう。ここで枚差をつけられると攻め札が少なくなるので、持ち味が 発揮できなくなりますから。
 では、1年生のトップバッターは、タカさんにしましょうか。器用なんですよね。そういう 意味で、取りにセンスがあるのですが、どうもかるた全体をトータルにみると器用貧乏になっ ているように思います。自分が目指すべきかるたはどういうかるたなのか、これを確固として 目標に定めることが大事かと思います。器用な取りはあとから付いてくるはずです。敵陣右と 自陣左の対角線ラインを太い軸にする攻め合いのかるたをイメージしてみてはどうでしょうか。 それでも、派生する様々な取りはタカさんなら自然にできると思います。
 トシくんは、練習の合間に払いの練習を自主的にするほど、「払い」の研鑽を積んでいると思 います。今、富士高OBが練習に来ていますが、彼らの払いの良さを是非学んでみてください。 きっと、参考になると思います。中にはあまりうまくない人もいますが、代々富士高は、払い がきれいだと思います。研究の対象になりいうると思います。
 ヒジキくんは、今、払いにとても勢いがあります。その払いのスピードをとことん伸ばして 行きましょう。1字・2字のスピードを特に意識してください。そして、3字決まりは、ため を設けて、3字目に最高スピードで到達できるように、1・2字のスピードを応用してみま しょう。勢いとスピードを大事にしていってください。
 ヨッシーの魅力は、聞き分けにあると思います。3字を攻めて戻るときなど、非常に聞き 分けの良さと戻りのセンスを感じます。しかし、これを活かすのは、攻めです。最初から 戻りを意識せずに攻めだけを中心に組み立てる練習を意識的にやってみてはいかがでしょうか。 戻りという自分の武器を封印して、一方通行の攻めを伸ばすという訓練を一時期続けることで 封印を解いた時に、あらたな自分を発見すると思います。
 AVEちゃんは、最近ジーパンで取って、今までと違う世界をみたようですね。実は、ゆったり ジーンズではなく、やや、ももにはりがあるくらいのジーンズをはいてかるたをとると、腰が 自然にあがるのです。前に対戦した時は、低い構えで低い手の使い方で、上達したなあと感じ ましたが、攻めを考えるときには、腰があがっていると視線が高くなり、敵陣に対してよりア グレッシブになれると思います。どちらが、自分に向くか、いろいろ試してみるとよいでしょ う。攻めは大事ですが、身長やリーチの差は個々人で違います。AVEちゃんの場合、AVE=アベ レージ(平均)ですから、攻守のバランスを考えるとよいのではないでしょうか。
 メアリーさんは、払いに進歩が見られます。しかし、やや、払いが硬い感じがします。柔ら かい払いを考えてみてはどうでしょうか?柔らかい払いといっても抽象的すぎるかもしれませ んが、しなやかな払いといってもいいかもしれません。武器でいえば、こん棒ではなく鞭、両 刃の剣ではなく、彎曲のある日本刀といったイメージです。肘と手首、指先をうまく使うこと です。
 チカさんは、もうB級の大ベテランですから、あまりいうことはありませんが、層の厚いB級 を抜けるためには、どうすればいいかをよく自分自身で考えてみましょう。自分の長所と短所 を棚卸してみましょう。今はやりの言い方をすれば、ポートフォリオですね。私の目からみる と安定感はあるが爆発力はないという感じなのですが、これも実は表裏一体で、場面場面で 長所でもあり、短所でもあるという類のものだと思います。そう考えると何がみえてくるかと いうと、爆発力を身につけることだと思います。そして次には、6試合くらい連続で取る体力 でしょう。
 まあ、勝手なことを書きました。「そんなじゃないや!」と思う方もいるかもしれません。 それでも、皆さんが自分自身のかるたについて考えるきっかけになれば、この番外編の意味が あるものと思います。
 では、また練習でお会いしましょう。  
草々


=追伸=
 「続・後輩への手紙」も番外編で一応シリーズ終了です。次は、「新・後輩への手紙」と でもしましょうか。引き続きお付き合いください。

次の手紙へ        前の手紙へ

手紙シリーズのINDEXへ


トピックへ
ページターミナルへ
慶應かるた会のトップページへ
HITOSHI TAKANOのTOP PAGEへ

Mail宛先