LETTER-Senpai-03

先輩への手紙(III)

Hitoshi Takano Mar/2016


前略  先日は、心温まる励ましのお便りをいただき、大変感謝いたしております。ありがとうございました。
 さて、本日は嬉しいお知らせです。
 3月5日(土)に、父は無事退院いたしました。現在は、自宅に戻っております。

 当初は、療養型の病院に転院するということで担当の医師から説明を受けていたのですが、本人の強い要望で 転院することはせずに、自宅での療養をすることになりました。
 これも本人は「自宅に帰って、そこから通院する」と言っていたのですが、医師のほうから、「約3ヶ月の入院で 弱ってしまった筋力の回復がまだなので、訪問医療はいかがですか?」と勧められ、「訪問医療・訪問看護」を 受けることになりました。
 両親は、ニュータウンの団地にいるので、結構高齢化世帯も多く、訪問医療・訪問看護の対応も件数が多い らしく、ニュータウン内の自宅から近くの訪問看護センターがあり、退院前に準備と相談をしていただき、 退院後の自宅療養の段取りをつけてもらうことができました。
 ケアマネージャーの方や、レンタルの介護用ベッドや手すりの設置など、退院前にいろいろと準備をして いただきました。母は自宅に入れ替わりたちかわりいろいろな方が来て、名刺を置いていくので、相当に 面食らっていたようです。自分で「なにがなんだかわけがわからない」とブツブツ言っていました。耳も 遠いので、聞こえにくいこともあるようですが、面倒なことは考えるの放棄しているようで、これでは ボケてしまうのではないかと心配しております。
 母がひとりで自宅にいて、病院に行っては不確かな情報をこちらに流してくれるよりは、父が家にいた ほうが私としては安心できます。結局、病気になったのは父ですが、母の健康面も心配しなければならない 状況であることは確かです。

 すでに7日には訪問担当の医師が来て、8日には訪問看護の方が来て、いよいよ自宅での訪問医療・看護が スタートしました。
 私は同居しているわけではなく別世帯を構えてるわけですので、そうそう自宅に様子を見にいけるわけでは ありませんが、病院へ見舞いにいくのと自宅に様子を見にいくのでは、気持ちの上での負担感が違います。
 やはり、病院は他の患者さんもいらっしゃいますし、気持ち的には重い感じになります。
 退院の前日、病院の担当医師に家族が呼ばれ、病気の現状と今後の治療方針、退院して訪問医療・看護を 受けることのメリット・デメリットの説明を受けました。自宅での訪問医療ということでは、入院しての 医療とは違うところのリスクもあるということだと受け止めました。
 ただ、黄疸の原因だった24もあったビリルビンの数値が約10分の1の数値に下がって、現状では小康状態で あるとの医師の説明を受けてホッとしております。しかし、とはいうものの怖いのは感染症のようです。
 あとは、無理をしない範囲での筋力回復のリハビリが必要とのことで、はやく自分の足でしっかりと歩ける ように回復することを祈っております。

 この前、母の弟である叔父が来て私がまだ競技かるたをやっているのか聞いたそうですが、母は自慢げに 「ずっとやっていて、とてもうまい」と言ったそうです。この話を聞いて、父母には、私が元気に仕事をし、 そして、競技かるたで頑張っている様子を見てもらうことが、親孝行にもなるのかなと思った次第です。
 実家に父が帰れるように家の中を主に片付けたのは家内ですが、夫婦で親のためにできることをしたことも 両親の安心につながってくれればよいなと思っています。

 まだまだ、手放しでの安心はできませんが、ご心配をおかけした父の様子はこのような状況なので、 取り急ぎご報告させていただきました。
 本当にいろいろとありがとうございました。
草々


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