山部赤人

田子の浦に打ち出でてみれば白妙の
   富士の高嶺に雪は降りつつ


決まり字:タゴ(二字決まリ)
 柿本人麻呂と並び称される歌聖である。万葉集には、「田子の浦に」→「田子の浦ゆ」、 「白妙の」→「真白にぞ」、「雪は降りつつ」→「雪は降りける」と歌に差異が あるが、定家は、私撰集ではなく勅撰集に記載された歌を採ったわけである。
 富士山に雪が降りつつあるのを見えるわけがないと「ツッコミ」を入れたくなる 方もいるとは思うが、この虚構も歌の持つ力であり、楽しさではないだろうか。
 静岡県立富士高等学校という高校がある。ここのかるた会は「高嶺会」という。 まさに「富士の高嶺に」なのである。
 富士高は、高校選手権大会で10連覇を含む優勝12回、職域学生大会のA級では3連覇2度を 含む優勝10回の競技かるたの強豪校である。
 この高校が、2008年2月11日のフジテレビのドラマ「かるた小町」で、ロケ場所に なった。生活館という、ふだん高校生たちがかるたの練習をしている場所も、テレビ 画面に映し出されていた。その生活館のシーンで、卒業生を含む歴代部員たちのネーム プレートも写っていた。
 私が若い頃、富士高に練習にいって、対戦していたメンバーのプレートを発見し、 非常に懐かしく思った。(静止画像にしてチェックした)
 当時の高校生も、今では不惑の年を越えているが、どうしているのだろうか?
 数え年で知命の年齢になり、この年齢で出身でもない高校の練習にいっても浮いて しまうので出稽古に行くことはないが、高校生の若いカルタとの手合わせも、きっと よい練習になることだろう。

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2008年3月  HITOSHI TAKANO