TOPIC "番外編"
練習環境夢物語
〜問題は採算性〜
Hitoshi Takano MAR/2013
競技かるたの練習環境について、とりとめもなく考えることがある。
それには、ふたつの側面がある。
ひとつは、会の人数に応じた練習場の広さの確保という面であり、もう
ひとつは、いつでも練習したいときに練習できるという練習相手と練習時間の
確保という面である。
かるた選手としてよい練習環境を整えたいとは、誰しも考えることではない
だろうか。そういう意味では、「夢想」といったほうがよいかもしれない。
まずは、将棋会所や碁会所といったもののかるた版である。営業時間内にいつ
行っても練習相手がいるというのは魅力である。
ただし、場所の利便性が求められるところであるので、それだけの広さの確保
をはかるとなると賃貸の家賃は相当だろう。おそらく、かるた一組の広さがあれ
ば、囲碁や将棋ならば三組は組めるだろうから、料金は三倍にしないとなりたた
ない計算になる。しかも、囲碁や将棋は対戦が組まれれば、開始時間はばらばら
でも問題ないが、かるただとすべての組が一斉に開始する必要があるので、これ
も効率が悪い。
利便性は大事で、大学内の施設だから在学生は無料で使用できる128畳の湘南
藤沢キャンパスの柔道場も、練習環境はよくとも、湘南台駅からバスで15分(料金
片道210円)との不便さと都内からの交通費の負担額で、なかなか人は集まらない
し、会本体としての練習場所に選んでもらえない。
綱島もしくは鶴見からバスで行かなければならないお寺も、住職の理解は
あり、いろいろよくしてくださって練習環境は非常によいのだが、やはり利便性
という点で、こちらも練習場所としては緊急避難的なケースでしか利用してもら
えない。
交通手段の利便性は、練習場所としての機能を考えたときに、非常に重要なの
である。
将棋会所や碁会所も場所を利便性のよいところに借りると賃料がきびしいとい
う話をよく聞くので、利便性は二の次にして、自分の持ち家や持ちビルなどが
利用できれば、経営的は随分と助かるであろう。しかし、上記の事例を引き合いに
だすまでもなく、不便なところでは、お客さんの利用が少ないというジレンマが
生じるのだ。社会人を対象に考えれば、夜、仕事を終えて、帰り道にフラッと寄
れるようなところでないと営業は難しいように思う。小・中学生などを対象に
考えても、駅から近い便利な場所がよく、人通りの少ないところを通らねば
ならないようなところではだめなのである。
経営云々を考えなければ、個々人への対応であれば、例示した個人宅を
利用するような練習環境もいいかもしれないが、ひとつの会としての活動と
いうとこの方式にも限界があるといわざるをえない。
そこで、考えたのは、合宿所形式の練習場である。たとえば、アパートを一棟
買取って、リフォームする。2階建てで上に4〜5室、下に4〜5室くらいの物件でよい
のではないだろうか。
たとえば、1階の部屋をすべてぶち抜いて、広い練習場をつくり、上の各部屋
は、会員に賃貸する。不規則な時間の練習相手は会員である。
少なくとも家賃収入は多少ディスカウントしたとしてもある程度は入ってくる
だろう。かるた会員は、不規則な時間の練習相手となるかわりに家賃をディスカ
ウントという考え方もありうるかもしれない。
2階をぶち抜いてとしなかったのは、ここに入居するだけの会員が集まらずに
非かるた関係者を入居させたときに上のバタバタ音の影響を減らすためである。
アパートの買取・リフォームという初期投資に見合った収入はきびしそうで
ある。まして、自前での建設などは、もっときびしい。
大学や高校が、スポーツや文化種目での部活等での全国的活躍で、自校のPR
に結びつけようとする例は、箱根駅伝や高校野球などにも見ることはできるが、
競技かるたという今現在のマイナー競技にそれだけのPR効果が期待できない
以上、学校に合宿所を用意してもらおうという考えは難しい。
その他、いつでも練習できる仕組みとして、かるた喫茶というのも考えたこと
がある。
外と中から見えるように一組分の競技スペースをつくり、カメラとモニターも
いれて、競技を生で観戦しながらお茶が飲める喫茶店を考えた。
音のことがあるので、このスペースは強化ガラス等で閉鎖された空間としない
といけないので、それなりに設備に費用がかかると思うが、選手にとっては見ら
れて取ることに慣れるためにもよいのではないだろうか。
初期設備投資や、必要経費を考えたときにもうかるかどうかといえば、これまた
厳しいが、普及を強く意識した仕掛けなので、PR効果という面を勘案して、
全日協からの補助金などの対象にしてもらうわけにはいかないだろうか。
こうした補助が期待でき、普通の喫茶による収入なども含め、人件費をかるた
会員による協力により抑えていけば、なんとかできないだろうか。
ここまで書いてみて思うのは、(社)全日本かるた協会でビルをもち、道場、
ミュージアム、喫茶、グッズ売り場、宿泊施設や合宿施設などを総合的に経営
するのが、なかなかによいようにも思えるのだが、今の会費収入や組織では
これもまた夢のまた夢のように感じる。
上記でも経営だなんだといろいろ書いているが、要は、先立つものがなければ
始まらないし、始まったとしても、運営を裏付ける費用が確保できないと続かない
ということなのである。
この費用の件は、何も上記の練習環境の整備についてだけではない。もっと
身近な練習や大会出場にかかる諸費用についてもいえる。特に、地方大会への
遠征費用もばかにならない。地方の人は逆に首都圏や大都市での遠征費用と
いうことになるだろう。高校生くらいまでは、親に支出をお願いするわけだ
ろうが、親の世代も生活にかかる費用であってさえきびしい中、こうした
活動に支出するにも限界があるだろう。大学生になるとほとんどが自分で
アルバイトして費用を捻出しなければならない。学業とアルバイトを両立させた
上で、かるたも含めて鼎立させないとならないのだ。
そこで唐突ではあるが、全日協でかるたのための諸費用に貸し出すための
基金を設立できないものだろうか?
法人として寄附を受け、基金をつくり、基金の運用益を遠征費用として貸し出
しをする。貸し出し分が戻ってきたら、基金に組み入れる。また、その際、優勝
したら、返済免除、準優勝だったら半額免除とかにしてもよいだろう。基金の金
額が充分でなく、運用益をだせない程度の基金であれば、この免除というご褒美
はだせなくなるが…。
学生時代に貸し出し、就職後に在学期間の四倍くらいの期間で返済するという
「かるた奨学金」なども用意できればよいかもしれない。
こうした基金ができて、運用益があがるようなら、普及のためにE級の参加費
を無料にして、その分を参加人数に応じて基金の運用益から大会主催者に補助す
るなども可能になるのではないだろうか。
全日協の繰越金の一部を毎年基金に組み入れていって積み立てるような方法も
考えられるのではないか?
フィージビリティーがあるのかどうか検証などしていないわけだから、
本当に「とりとめもなく」としかいえないが、こんなことを考えることがある
のである。
繰り返しになるが、何をするにしても、ペイできる仕組みがきちんとしていな
いと続かないことだけは確かだろう。それにもまして、初期の設備投資等先立つ
ものの準備が必要なのである。
天からお金は降ってこない…。(ため息、、、)
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