TOPIC   "番外編"

二日制トーナメント

〜ベテラン勢に朗報か?〜

Hitoshi Takano MAY/2014

 ここのところ、データ関係の話題が多かったので、話題を少々変えたいと思う。

 4月29日(祝)にさがみ野会大会(ABC級)が開催された。特記すべきは、この大会の 準決勝以降は、一週間後の5月6日(振替休日)に行なわれたことである。
 A級優勝は、渡辺令恵永世クイーン、準優勝は中川琢馨選手である。決勝は運命戦で あった。

 今までは、一般的にトーナメントは一日制であった。決勝までぶっつつづけで行なうのが 普通であった。したがって、6回戦・7回戦を一日でこなした。しかし、公共施設などが 会場の場合、会場の使用時間の都合で、決勝だけ大会役員の家で行なうということが 行なわれたり、抽籤で決着というようなケースもあった。片方の選手が棄権や譲りという こともある。
 しかし、日をあらためて準決勝以上を行うというのは画期的である。参加人数に よっては、準々決勝以上でもいいかもしれない。過去にこのTOPICで 試案として二日制を書いたこともあるが、 実行されたのは、すばらしいことだと思う。

 ただ、今回は、連日開催ではなかった。
 地方から遠征としてくる選手にとっては、大きな負担がかかることだと思う。
 また、一週間後という点も、勝敗の綾になったかもしれない。
 それは、疲労の回復度である。
 一日に五試合以上ともなると、疲労感はベテラン勢によりきついものとなる。若いとき、 先輩から「あの選手に、一・二回戦であたったら事故と思え」といわれるベテラン選手が いた。三試合目になると健康上の問題で、一・二試合目の強さが発揮できないということ だった。
 もちろん、今回優勝の渡辺永世クイーンの実績は、みなさんご承知のとおりである。 過去においては、六試合戦っての優勝などは数知れずであった。しかし、ここ数年は、 一日の連戦数が重なると厳しいように、傍からは見えていた。過去の他者の追随を許 さぬような膨大な練習量が、肉体に負担をかけていたと考えるのは自然なことだろう。
 だが、今回は二日制で、しかも一週間後の準決勝・決勝の二試合である。休養充分で 良いコンディションで試合に臨めたに違いない。もし、これが連日による二日制であっ たら、回復度合がどうだったか微妙なところであったのではないだろうか?
 準決勝で渡辺永世クイーンに当たったのは大学1年の若手であったが、一日制での準決勝ならば若さに伴う体力で、違う目も出たのかもしれない。(勝敗にタラレバはないのだが…)

 いずれにしても、おそらく二日制トーナメントは、ベテラン勢にとっては朗報では ないだろうか。

 今後、様々なタイプのトーナメント方式が取られることは、一選手として歓迎である。 将棋や囲碁でも、タイトルやトーナメント方式の違いなどで、持ち時間が異なったり、 一日制や二日制など、それぞれに個性がある。早指しの得意な人もいれば苦手な人が いる。こうした多様性が、棋界を面白くしているのだと思う。
 そう考えると、かるた界も大会に多様性があっていいのだとつくづく思うのである。

 さて、私も世間的に言えば「ベテラン選手」のひとりである。(全日本かるた協会の シニア選手権にも出場できる年齢で、30年以上競技かるたに関わっているのだから、 そういってもかまわないであろう。)ベテランのひとりとして、まだまだ、チャンスを つかむべく頑張っていきたいものである。
 大会主催のみなさんには、ベテランが頑張れる試合形式を工夫していただきたいと 期待している。

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